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JAMA Network Open誌から
多系統炎症性症候群は成人にも発生する
米国の大学病院の入院患者データからCDCの症例定義を満たす患者を検索

 多系統炎症性症候群(MIS)は、SARS-CoV-2に感染した小児に起こる、頻度はまれだが重症の合併症と認識されている。その後、成人の症例(MIS-A)が報告されるようになり、米国疾病管理予防センター(CDC)が基礎的な症例定義を作成するに至った。米国Vanderbilt大学のGiovanni E. Davogustto氏らは、SARS-CoV-2感染後の亜急性期または回復期に発生するMIS-Aの臨床像を調べるコホート研究を行い、得られた知見を2021年5月19日のJAMA Network Open誌電子版に報告した。

 MIS-Aの可能性を検討した対象は、Vanderbilt大学医療センターで2020年3月1日から9月30日までの期間に入院していた、SARS-CoV-2感染が確認された21歳以上の入院患者。具体的には入院の時期と受けた検査により、1)初回のRT-PCR検査で陽性判定を受けてから14日後から84日後まで、2)SARS-CoV-2に対するIgG抗体検査による陽性判定の15日前から15日後まで、に該当する患者をMIS-Aリスクありに分類した。1)でPCR陽性から14日後までの期間を除外したのは、その間の入院は急性期のCOVID-19に起因するもので、MIS-Aによるものではない可能性が高いからだ。MIS-Aリスク患者以外のSARS-CoV-2陽性者は、急性COVID-19による入院患者と見なして、比較の対象とした。

 電子医療記録によると、対象期間中に7196人の患者が同大学に入院し、PCR検査または抗体検査によってSARS-CoV2感染陽性と判定されていた。それらのうち839人(11.7%)が対象となる期間中に入院しており、うち156人(18.6%)はMIS-Aリスクありに分類され、683人(81.4%)は急性COVID-19に分類された。

 MIS-Aリスク患者156人の中から、急性COVID-19から回復していない患者や、他の疾患と診断された患者などを除外し、以下のCDCのSARS-CoV-2感染関連MIS-Aの診断定義を満たす患者を探したところ、15人(9.6%)がMIS-Aと判定された。

CDCが作製した症例定義は以下の5項目からなる。
1)21歳以上の人に起こった入院が必要な重症疾患
2)入院中または過去12週間以内に行われた、核酸検査、抗原検査、抗体検査によって、現在または過去のSARS-CoV-2感染が確認されている
3)肺以外の1つ以上の臓器系に重度の機能障害が認められる(低血圧またはショック、心機能障害、動脈または静脈の血栓症や塞栓症、急性肝障害)
4)重度の炎症を示す検査結果(例えばCRP、フェリチン、Dダイマー、IL-6などの上昇)
5)重症呼吸器疾患は認められない(炎症と臓器機能不全が、単に組織の低酸素症に起因する可能性がある患者を除外する)

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シリーズ◎新興感染症
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