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BMJ誌から
英国の高齢者に見るSARS-CoV-2ワクチンの効果
National Immunisation Management Systemを用いて実際の効果を推定

 英国Public Health EnglandのJamie Lopez Bernal氏らは、Pfizer社/BionTech社のmRNAワクチンBNT162b2と、Oxford大学/AstraZeneca社のアデノウイルスワクチンChAdOx1-Sの、リアルワールドでのCOVID-19予防効果を評価し、これらのワクチンが同国の高齢者の発症と入院、死亡を減らしていたと報告した。結果は2021年5月13日のBMJ誌電子版に掲載された。

 英国では2020年12月8日に、BNT162b2を用いたSARS-CoV-2ワクチン接種が始まった。その後ChAdOx1-Sの接種も開始された。接種開始後の数週間は、介護施設に入所している80歳以上の高齢者と施設のスタッフ、および最前線で働く医療従事者とソーシャルワーカーが最初の接種対象になった(pillar1)。2021年1月18日から、70歳以上の高齢者と臨床的に極めて脆弱とされた人にも対象が拡大された(pillar2)。

 2020年12月20日、英国当局はワクチン製造会社が推奨している3~4週の間隔ではなく、最長12週間隔で2回接種することを認めた。より多くの国民に対して広く単回接種を行う戦略を選択したからだ。また、英国では12月に、SARS-CoV-2の懸念される変異株B.1.1.7系統の感染拡大が報告され、接種が始まったワクチンが変異株にも有効かどうかが懸念された。

 そこで著者らは、ワクチン非接種者と比較することにより、1回または2回の接種が、70歳以上の高齢者にもたらすCOVID-19発症予防効果と、COVID-19による入院、および死亡を予防する効果を検討することにした。分析には、近年インフルエンザワクチンの効果の検討に用いられているtest-negative case-control(診断陰性例コントロール)方式を用いた。具体的には、COVID-19が疑われる症状を示してPCR検査を受けた人々のうち、陽性判定を受けた人(ケース)と陰性判定を受けた人(コントロール)のワクチン接種率を比較した。2020年10月26日~2021年2月21日までに、COVID-19を疑う症状がありPCR検査を実施した例の、全ての検査結果を利用することにした

 B.1.1.7変異株の判定には、スパイク蛋白質の遺伝子変異により、PCR検査キットのTaqPathがターゲットにしている3カ所を検出できなくなったことを利用した。ワクチン接種者の情報は、National Immunisation Management System(NIMS)を利用して2021年2月19日までにワクチン接種を受けた人を確認した。

 主要評価項目は、PCR検査で確認された症候性のSARS-CoV-2感染、COVID-19による入院、COVID-19による死亡に設定した。共変数として、年齢、性別、貧困指数、民族、居住地域にワクチンが届いた時期、介護施設の利用状況などを調べた。

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シリーズ◎新興感染症
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