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BMJ誌から
2回目を遅らせてもワクチン初回接種者を増やす戦略はCOVID-19死亡率を減らす
米国の地域住民を想定したシミュレーションの結果

 米国Mayo ClinicのSantiago Romero-Brufau氏らは、mRNAワクチンを臨床試験と同様に21~28日間隔で2回目を接種する場合と、2回目の接種を遅らせてもより多くの住民に初回接種を行う場合で、どちらがCOVID-19対策に有効かを検討するシミュレーションを行い、ワクチンの初回接種後の予防効果が80%を超えていて、1日当たりの国民の接種率が0.3%以下の場合は、2回目の接種を遅らせる戦略の方が、累積死亡率などを減らすのに有効だと報告した。結果は2021年5月12日のBMJ誌電子版に掲載された。

 公衆衛生の専門家の一部は、たとえSARS-CoV-2ワクチンの2回目の接種が予定より遅れても、より多くの人にまず初回のワクチン接種を行う戦略を推進すべきだと提案している。この戦略には、2回目の接種を完了すればより有効性が高まるものの、初回接種だけでも一定のCOVID-19予防効果があるはずだという考えを前提にしている。米国疾病管理予防センター(CDC)は、Pfizer社やModerna社の臨床試験データから、それらのワクチンの単回接種後の効果は約80%と推定している。

 そこで著者らは、SARS-CoV-2に対するmRNAワクチンの2回目の接種を遅らせた場合と、メーカーが推奨している標準的なスケジュールに従って接種した場合の、公衆衛生上の利益(COVID-19による死者数や入院患者数)を比較するために、米国民を想定してシミュレーションを行うことにした。

 人口統計学的特性と職業構成が、実際の米国の地域住民と同様な10万人モデルを作成し、SARS-CoV-2感染は職場や家庭内で、もしくは公共な場所でのランダムな接触により起こると想定した。ワクチン接種の順番は、まず75歳以上を対象に行い、次に65歳以上に接種し、続いてそれより若い人に接種することとした。また、ワクチンの初回接種から12日目までは予防効果が現れないこととし、13日目以後の有効性を50%、60%、70%、80%、90%のいずれかと仮定した。また、1日当たりで接種可能な住民の割合を0.1%、0.3%、1.0%のいずれかと仮定した。

 主要評価項目は、初回接種から180日後までのCOVID-19の累積死亡率とした。標準的なスケジュールに基づく2回接種と、初回の接種を行き渡らせることを優先し、再接種を遅らせる戦略を比較するシミュレーションを10回行い、結果の中央値を求めた。

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シリーズ◎新興感染症
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