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Lancet Oncology誌から
SARS-CoV-2ワクチンは癌患者には早期に2回接種すべき
1回目の接種だけでは抗体陽性にならない患者が多数含まれる

 英国Francis Crick InstituteのLeticia Monin氏らは、臨床試験に参加できなかった癌患者に対して、Pfizer-BioNTech社のワクチンBNT162b2を接種して有効性と安全性を検討する前向き観察研究を行い、初回接種後には十分な抗体は得られず、21日後の2回目の接種が欠かせないという中間解析結果を報告した。結果は2021年4月27日のLancet Oncology誌電子版に掲載された。

 英国は2020年12月30日に、SARS-CoV-2ワクチンの2回目の接種は、製薬会社が推奨している初回接種から3~4週間後ではなく、おおよそ12週間経過してから行うことを推奨した。さらに2021年2月12日には推奨事項をアップデートして、免疫抑制状態にある患者のワクチンに対する反応は低いという知見に基づいて、再接種を早めに行うよう指示している。

 SARS-CoV-2ワクチンに関する臨床試験では、治療中の癌患者は除外対象に該当するため、癌患者に対するSARS-CoV-2ワクチンの有効性と安全性は明らかではなかった。既に著者らは、癌患者の中でもB細胞性の血液悪性腫瘍患者がSARS-CoV-2に感染した場合、セロコンバージョンが遅れたり、抗体反応がほとんど見られない場合があること、ウイルスの排出期間が長引くことなどを報告した。今回の研究SOAP-02は、癌患者を対象にBNT162b2の初回接種から21日後にブースター接種を行った場合の有効性を調べるのが目的だ。

 参加者は、2020年12月8日から2021年2月18日までに、ロンドンの3病院を受診した癌患者と、健康な対照群(ほとんどが医療従事者)とした。12月8日から12月29日までの期間に、BNT162b2の接種を受けた参加者は、21日間隔で2回、接種を受けた。12月30日以降に初回接種を受けた人々は、追跡期間中に再接種を受けていなかった。

 参加者の血液標本は、初回接種前と初回接種から3週後と5週後に採取した。可能であれば、10日ごと鼻咽頭スワブを採取し、RT-PCR検査を実施した。またCOVID-19と見なされる症状が生じた患者にもPCR検査を行った。

 主要評価項目は、ワクチン初回接種後の抗スパイク蛋白質抗体陽性者の割合と、21日後のブースター接種によるセロコンバージョンへの影響とした。副次評価項目は、ワクチン接種後の安全性、T細胞の反応、SARS-CoV-2武漢株とB.1.1.7変異株に対する中和活性とした。今回の中間解析は、初回接種から5週後までに得られたデータを対象とした。追跡は12週後まで行う予定で継続中だ。

 試験には151人の癌患者(95人が固形癌で56人は血液悪性腫瘍)と54人の健康なコントロールが参加した。癌患者の年齢は、中央値で73.0歳(四分位範囲64.5~79.5歳)、52%が男性患者48%が女性患者だった。対照群の年齢は中央値で40.5歳(31.3~50.0歳)、男女の割合は癌患者と同じだったが、白人の割合は、癌患者では82%、健常人では61%だった。

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シリーズ◎新興感染症
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