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JAMA Network Open誌から
無症候感染でもCOVID-19回復期の脳梗塞リスクは高い
シンガポールの脳梗塞患者を対象に無症候感染者と一般住民のリスクを比較

 シンガポールNational Neuroscience InstituteのTian Ming Tu氏らは、SARS-CoV-2無症候感染者の急性脳梗塞リスクを調べるために、シンガポールに出稼ぎに来て寮生活を送っている50歳以下の男性を対象にした症例シリーズ研究を行い、感染したが呼吸器症状がない回復期の男性は、年齢・性別・民族がマッチする人よりも脳梗塞のリスクが高かったと報告した。結果は2021年4月22日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 急性脳梗塞はCOVID-19を発症した患者に急性期に見られる神経系の合併症の1つと認識されている。しかし、急性脳梗塞のリスクは、無症候性の感染者や症状が極めて軽く済んだCOVID-19患者も、明白な呼吸器症状を伴うCOVID-19患者と同様にリスクが高いのかは明らかではなかった。そこで著者らは、シンガポールでSARS-CoV-2無症候感染後に急性脳梗塞を発症した患者について分析し、一般の人々と比較して脳梗塞のリスクが増加しているのかどうかを検討することにした。

 シンガポールでは、2020年10月14日までにSARS-CoV-2感染確定例が5万7889人報告されているが、それらの94%(5万4485人)が南アジア(インドとバングラデシュ)からの出稼ぎ労働者で、寮で生活していた人々だった。ゆえに、そうした人々を対象に積極的なサーベイランスを行い、濃厚接触者の検査を進め、感染拡大防止策を講じた。今回の研究ではサーベイランスで突き止めた無症候感染者の症例データを利用することにした。

 対象は2020年5月21日から10月14日までに、急性脳梗塞でシンガポールの公的医療施設を受診した患者。この中から、SARS-CoV-2抗体検査が陽性で、感染時に無症候だったか、呼吸器症状はなかった、連続する男性患者を同定した。急性脳梗塞発症時点で呼吸器症状があった患者、または鼻咽頭標本のPCR検査で陽性になっていた患者は除外した。その上で、無症候感染者または呼吸器症状がない軽症COVID-19患者の1年当たりの脳梗塞発症率を、年齢・性別・民族を調整した対照群と比較することにした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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