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NEJM誌から
ワクチン接種完了後にCOVID-19を発症した2例
いずれも軽症だが変異株はワクチンの予防効果をすり抜ける可能性

 米国Rockefeller大学のEzgi Hacisuleyman氏らは、SARS-CoV-2mRNAワクチンの2回接種を完了した同大学の職員のうち、2週間以上経過してからCOVID-19を発症した女性職員が2人見つかったと報告した。2人が感染していたのは複数の変異を有するSARS-CoV-2で、ブレイクスルー感染が生じたと考えられた。この報告は2021年4月21日のNEJM誌電子版に掲載された。

 SARS-CoV-2ワクチンのほとんどは、ウイルスのスパイク蛋白質をターゲットにしている。ところが変異株の出現により、スパイク蛋白質にも変化が起こり、ワクチンによって誘導される免疫反応をすり抜ける可能性が懸念されるようになった。ニューヨーク市では2021年3月30日時点で、変異株が新規感染者の72%以上を占めるようになった(26.2%が英国で最初に見つかったB.1.1.7変異株、42.9%がニューヨーク市で最初に見つかったB.1.526変異株)。

 著者らは、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの2回接種を終えたRockefeller大学の職員417人に対して、接種完了後2週間以上が経過した時点から週1回ずつPCR検査を行った。追跡期間中に2人の女性がCOVID-19を発症、PCR検査の結果が陽性になった。

 患者1は51歳の健康な女性で、COVID-19の重症化の危険因子は保有していなかった。2021年1月21日にモデルナ社のワクチン(mRNA-1273)の初回接種を、2月19日に2回目の接種を受けた。2回目の接種の10時間後にインフルエンザ様の筋肉痛が発症したが、翌日には消失した。日常生活上の感染予防措置は厳格に行っていた。2回目の接種から19日後の3月10日に、喉の痛み、鼻づまり、頭痛が生じ、その日の夕方に大学でPCR検査を受けたところ、SARS-CoV-2陽性と判定された。翌11日には嗅覚が失われたが、症状は1週間ほどで軽快した。

 患者2は65歳の健康な女性で、やはりCOVID-19の重症化の危険因子は保有していなかった。1月19日にファイザー社のワクチン(BNT162b2)初回接種を受け、2月9日には2回目の接種を受けた。接種した腕の痛みは2日間続いた。3月3日、ワクチン未接種のパートナーがSARS-CoV-2陽性と判明した。3月16日になって、倦怠感、鼻づまり、頭痛が現れ、ワクチン接種から36日後となる3月17日には症状が悪化したため、PCR検査を受けたところ、SARS-CoV-2陽性が確認された。それ以上の症状悪化は見られず、3月20日から回復に向かった。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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