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Lancet Psychiatry誌から
COVID-19患者は神経/精神疾患のリスクも高い
COVID-19の診断から6カ月間の発症率を他の呼吸器疾患と比較

 英国Oxford大学のMaxime Taquet氏らは、14種類の神経疾患と精神疾患について、COVID-19患者の後遺症としての発症リスクを調べるためのコホート研究を行い、インフルエンザやCOVID-19以外の呼吸器感染症から回復した患者に比べ、COVID-19患者では診断から6カ月間に神経/精神疾患を発症するリスクが有意に増加していたと報告した。結果は2021年4月6日のLancet Psychiatry誌電子版に掲載された。

 COVID-19パンデミックが宣言された当初から、COVID-19患者では神経系の後遺症が懸念されていた。その後、COVID-19が中枢神経系に及ぼす影響が報告され、気分障害や不安障害の発症リスクが高いことなども報告されるようになった。そこで著者らは、COVID-19パンデミックが脳の健康にもたらす影響を明らかにするためには、大規模かつ長期間にわたる質の高いデータの分析が必要だと考えた。

 今回著者らは、COVID-19の診断から6カ月間の、神経疾患と精神疾患の発症率を調べ、別の呼吸器感染症を経験した人々の発症率と比較して相対リスクを推定するために、後ろ向きコホート研究を行った。加えて、COVID-19の重症度の代替指標として、入院またはITU(ICUとほぼ同義)に入院した患者を対象とする分析と、COVID-19の合併症の中で脳に有害な影響をもたらす可能性が高い脳症を経験した患者を対象とする分析も行うことにした。

 コホートに組み入れる患者は、主に米国の62の医療組織を受診した患者の電子健康記録を匿名で収集しているTriNetX Analytics Networkに登録されていた約8100万人のデータから選び出した。対象は、年齢が10歳を超えており、2020年1月20日以降にCOVID-19と診断され、2020年12月13日まで生存していた人とした。対照群のコホートを2種類設け、1つは同じ期間にインフルエンザと診断された患者で、もう1つは同じ期間にインフルエンザを含むあらゆる呼吸器感染症と診断された患者とした。SARS-CoV-2陽性と判定されたことがある人は対照群から除外した。

 共変数として、COVID-19発症の危険因子と重症化の危険因子に関する情報を収集した。具体的には、年齢、性別、人種、民族、肥満、高血圧、糖尿病、慢性腎臓病、喘息、慢性下気道疾患、ニコチン依存症、物質使用障害、虚血性心疾患、その他の心臓病、社会経済的剥奪、癌(と血液癌)、慢性肝臓病、脳卒中、認知症、臓器移植、関節リウマチ、ループス、乾癬、免疫系疾患など55の変数に関する情報を得た。

 COVID-19の診断から6カ月以内の、以下の14の神経疾患と精神疾患の発症の有無を調べた。頭蓋内出血、脳梗塞、パーキンソン病/パーキンソン症候群、ギランバレー症候群、神経/神経根/神経叢疾患、神経筋接合部/筋疾患、脳炎、認知症、精神病性/気分/不安障害(それぞれ別個の分析も実施)、物質使用障害、不眠症。COVID-19または呼吸器感染症を発症する前から既にパーキンソン病などの慢性疾患と診断されていた患者は、分析から除外した。何度か再発するタイプの疾患は、今回が初発か再発かを区別することにした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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