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JAMA Network Open誌から
ACEI/ARBの使用はCOVID-19患者に影響を与えるか
系統的レビューとメタアナリシスで継続使用を支持する結果

 英国Norfolk and Norwich 大学病院のRanu Baral氏らは、高血圧治療などでACE阻害薬やARBを使用していた人と、レニン・アンジオテンシン系の阻害薬を使っていない人で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を発症した場合のアウトカムに差があるかどうかを検討した52件の研究を対象とする系統的レビューとメタアナリシスを行った。両薬の使用者に死亡数や重症化のリスク増加は見られず、逆にリスク減少が示唆されたと報告した。結果は2021年3月31日のJAMA Network Open誌電子版に掲載された。

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)がヒト細胞に侵入する際に、細胞膜上のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を利用することが分かって以来、ACE阻害薬とARBを継続的に使用している患者では、COVID-19に関連する合併症の悪化や、転帰不良が生じる可能性が懸念されていた。これまでの研究では、薬の使用と有害なアウトカムに関連は見られないという論文が多かったが、リスク上昇が見られたというものや、逆にこれらの薬が患者にメリットをもたらすというものもあった。

 パンデミックにより世界中でCOVID-19患者数が増加し、症例数の多い研究も増えてきたことから、著者らは改めてより多くのデータを利用した系統的レビューとメタアナリシスを行うことにした。COVID-19患者のうち、ACE阻害薬やARBを処方されていた患者とこれらを使用していない患者で、死亡率や重度有害事象の発生率を比較するのが目的だ。

 2019年12月31日から2020年9月1日までにPubMedとEmbaseに登録されていた研究の中から、ナラティブレビューと意見論文は除外し、核酸検査または画像検査によりCOVID-19と診断された成人の患者で、ACE阻害薬とARBを処方されていた人のCOVID-19のアウトカムを報告していた英語の研究論文を選び出した。

 検索で見つかった1664本の論文のうち、フルテキストが評価可能な71本を精査し、条件を満たした52件の研究(コホート研究が40件、ケースシリーズ研究が6件、ケースコントロール研究が4件、ランダム化比較試験が1件、横断的研究が1件)をメタアナリシスの対象にした。これらには延べ10万1949人の患者が参加していた。52件のうち41件の研究は、Newcastle-Ottawa Scaleにより質が高いと判断された。52件の多くが後ろ向き研究または観察研究で、主に中国、欧州、北米で行われていた。10万1949人のうち2万6545人(26.0%)がACE阻害薬またはARBを使用していた。また、高血圧と診断されていた患者1万1696人では、4813人(41.2%)がACE阻害薬やARBを使用していた。

 主要評価項目は、COVID-19関連の死亡と重度有害事象(ICU入院と人工呼吸器の使用)の未調整オッズ比と調整オッズ比とした。それぞれについて、ランダムエフェクトモデルを用いたオッズ比と95%信頼区間を比較した。ハザード比を報告していた研究からオッズ比への変換は、「Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions」の方法に従った。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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