日経メディカルのロゴ画像

bioRxivから
変異株にも有効な可能性がある抗体が開発中
基礎研究でVIR-7831とVIR-7832の有効性は変異株の影響を受けにくい

 米国Vir Biotechnology社のAndrea L. Cathcart氏らは、開発中の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対するモノクローナル抗体VIR-7831とVIR-7832のin vitro試験や動物実験を行い、これらの抗体が英国、南アフリカ、ブラジルで見つかったVOC(懸念される変異株)に対しても中和活性を持ち、抗体依存性感染増強(ADE)の徴候は見られないことなどを、プレプリントサーバーであるbioRxivに2021年3月10日に報告した。

 SARS-CoV-2に対するモノクローナル抗体製剤は、既にいくつか承認され、早期のCOVID-19患者の治療に用いられている。抗体を新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療や予防に用いた臨床データは有望な結果を示しているが、既に報告されている英国、南ア、ブラジル由来のVOCを対象とした場合には、従来株より有効性が低下することが示唆されている。故に既存の製品とは異なる抗原決定基を認識する抗体が期待されている。Vir Biotechnology社と英国GlaxoSmithKline(GSK)社が開発しているモノクローナル抗体VIR-7831とVIR-7832は、保存性の高い領域を抗原決定基としているため、エスケープ変異が生じにくいと考えられている。

 VIR-7831とVIR-7832は、2003年に流行したSARS-CoVに感染し生存した患者(S309)から分離したメモリーB細胞に由来する。どちらの抗体もFc領域に、血清半減期を延長し、呼吸器粘膜への分布を増強する可能性のあるLS変異を有する。加えてVIR-7832は、Fc領域にGAALIE変異(FcγRIIa活性化変異;具体的にはG236A、A330L、I332Eという3つのアミノ酸の変異)も持っている。この変異は、先にin vitroで、FcγRIIaとFcγRIIIaへの結合を強化すること、FcγRIIbへの親和性を下げることが示され、さらにin vivoで、呼吸器ウイルス感染時に、保護的なCD8+T細胞の反応を誘導することが示されている。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

この記事を読んでいる人におすすめ