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BMJ誌から
小児がいる家庭のCOVID-19感染リスクは高いか?
英国で小児がいる家庭といない家庭の成人の感染リスクを比較

 英国London大学衛生熱帯医学大学院のHarriet Forbes氏らは、同国での感染拡大の第1波(2020年2月から8月)と第2波(2020年9月から12月)の期間中に、同一世帯内に小児がいた家庭といなかった家庭で、成人の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染リスクと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)アウトカムに違いがあったかどうかを検討する住民ベースのコホート研究を実施した。その結果、第2波の期間中は小児がいる家庭の感染リスクや入院リスクが増加していたと報告した。論文は2021年3月18日のBMJ誌電子版に掲載された。

 小児はSARS-CoV-2感染リスクが低く、感染しても重症化しにくいとされているが、SARS-CoV-2の伝播に小児が果たす役割は明らかではない。インフルエンザなどの他の呼吸器疾患のモデルでは、感染拡大の初期に小児が大きな役割を果たすことが示されている。しかしSARS-CoV-2の伝播においては、これまでのところ、小児より成人の寄与の方が大きいと考えられている。

 小児は季節性のコロナウイルス感染症にかかりやすい。もしも季節性コロナウイルスへの感染が、SARS-CoV-2感染に対して保護的に働くなら、小児と同居している成人のSARS-CoV-2感染リスクと重症化のリスクは、同居していない人より低い可能性がある。逆に、小児が学校などで多くの人に接することを考えると、同居している成人のSARS-CoV-2感染リスクは同居していない人より高くなる可能性も考えられる。

 そこで著者らは、SARS-CoV-2感染とCOVID-19のアウトカムに対する小児の影響を検討するために、英国の電子健康記録などを利用して、大規模なコホート研究を実施した。イングランドのいずれかのプライマリ・ケアに登録されていた18歳以上の成人を対象にして、同国でのSARS-CoV-2パンデミックの第1波(2020年2月1日から8月31日まで)と、第2波(9月1日から12月18日まで)のコホートをそれぞれ作成した。その上で期間中の医療データと入院や死亡の記録を関連付けた。英国では第1波の期間中は学校が閉鎖されていたが、9月に再開され、第2波の期間中は閉鎖されていない。

 個々の世帯は、18歳未満の同居家族なし、0~11歳の小児がいる世帯、12~18歳の小児がいる世帯、0~11歳の小児と12~18歳の小児の両方の年代がいる世帯、に分類した。介護施設入居者や、同居人数が10人を超える世帯の人などは除外した。

 主要評価項目は、SARS-CoV-2感染と、COVID-19関連の入院、ICUへの入院、死亡の4項目とした。死亡診断書によって、COVID-19とそれ以外の原因による死亡を区別した。共変数として、年齢、性別、BMI、喫煙習慣、貧困指標、人種、居住地域、世帯内の成人の人数といった情報を収集した。また、SARS-CoV-2重症化に関係する可能性のある慢性併存疾患に関する情報も得た。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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