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Anesthesia & Analgesia誌から
アスピリンはCOVID-19入院患者に役立つか?
低用量アスピリンで機械的換気が必要な患者を減らせる可能性

 米国George Washington大学医学部のJonathan H. Chow氏らは、入院前後のアスピリンの使用が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者のアウトカムに影響を与えているかを探るために後ろ向きコホート研究を行い、アスピリンを使っていた患者は使っていなかった患者よりも機械的換気、ICU入院、院内死亡のリスクが低かったと報告した。結果は2021年3月17日のAnesthesia and Analgesia誌電子版に掲載された。

 重篤なCOVID-19患者では、凝固能亢進と血栓リスクの上昇を起こすことがあり、抗凝固薬の投与で機械的換気を受けているCOVID-19患者の死亡率が低下するという研究が報告されている。しかし、脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減らすために使用されている低用量アスピリンが、COVID-19患者に与える影響について検討した研究は知られていない。そこで著者らは、COVID-19で入院した患者の臨床アウトカムに対するアスピリンの効果を検討することにした。

 この研究では、COVID-19の後遺症について調べるために複数の医療施設が協力して作成した患者登録データベース「CRUSH COVID」を利用することにした。組み入れ対象は、2020年3月から7月までに、PCR検査で診断が確定し、登録施設に入院した18歳以上のCOVID-19患者。入院中に心停止が起こっても蘇生措置を望まないDNARの意思表示を行っていた患者は除外した。個々の患者について、人口統計学的特性、併存疾患、医薬品の使用、検査値、アウトカムに関する情報などを抽出した。

 アスピリン使用者の定義は、入院から24時間以内にアスピリンを投与された患者、または入院前7日間にアスピリンを服用していた患者とした。機械的換気などのイベントが発生した後に投与された場合は、使用者に含めなかった。

 主要評価項目は、侵襲性の高い機械的換気が必要な場合とし、持続的起動陽圧(CPAP)などの非侵襲的な方法は含まないことにした。副次評価項目は、ICU入院と院内死亡とした。有害事象としての大出血は、ヘモグロビン値が7g/dL未満で赤血球輸血を必要とした出血、24時間以内に2単位以上の赤血球輸血が必要になった出血、頭蓋内出血、赤血球輸血が必要な消化管出血、手術介入を必要とした出血、介入を要した鼻咽頭出血、眼底出血とした。明らかな血栓症は、深部静脈血栓、肺塞栓、末梢動脈閉塞、脳梗塞、ST上昇心筋梗塞とした。

 CRUSH COVIDから412人を分析対象にした。年齢の中央値は55歳(四分位範囲41~66歳)で、59.2%が男性患者だった。98人(23.7%)がアスピリン使用者で、314人(76.3%)は非使用者だった。使用者の75.5%は入院前からアスピリンを使用しており、86.7%は入院から24時間以内に処方されていた。服用したアスピリンの用量は中央値で81mg、使用期間の中央値は6日(四分位範囲3~12日)だった。アスピリン使用者は非使用者に比べ、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患、腎臓病の有病率が高かった。入院前からβ遮断薬を使用している割合も高かった。

 入院時のバイタルサインや臨床検査値には、使用者と非使用者に有意差はなかったが、例外はフィブリノーゲン値で、アスピリン使用者の方が有意に低かった。入院中に受けた治療で、アジスロマイシン、回復期血漿、デキサメタゾン、ヘパリン、ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、トシリズマブなどの使用率に差はなかった。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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