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PNAS誌から
COVID-19のICU入院リスク減少に関連するハプロタイプが見つかる
解析進むCOVID-19とネアンデルタール人由来の遺伝子の関係

 ドイツMax Planck研究所のHugo Zeberg氏らは、現代のヒトに受け継がれているネアンデルタール人由来のハプロタイプが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化に関連することを昨年に発表したが、さらにネアンデルタール人由来のハプロタイプで、COVID-19患者のICU入院リスク減少に関係する遺伝子も見つかったと報告した。結果は2021年3月2日のPNAS誌電子版に掲載された。

 ネアンデルタール人は約50万年前にユーラシア西部に現れた。その後、アフリカにヒトの祖先が現れて以降も、ほとんどのネアンデルタール人は、ヒトとは離れて暮らしていた。そして同様に旧人に属するデニソワ人とともに約4万年前に絶滅した。しかし、絶滅前の数万年の間にヒトとの交配が起き、ヒトゲノムの中に残された彼らの遺伝子は今日のヒトにも影響を及ぼし続けていると考えられている。

 遺伝的影響のいくつかは、ネアンデルタール人が数十万年以上にわたって住んでいたアフリカ以外の環境への適応を反映している可能性がある。これには感染症への適応も含まれ、サハラ砂漠以南のアフリカとユーラシアでは感染症の種類が異なっていたと考えられる。例えば、ヒトに見られる自然免疫に関与するいくつかの遺伝子座の変異は、ネアンデルタール人とデニソワ人に由来することが明らかになっている。

 その1つが、Helicobacter pyloriの感受性とアレルギーのリスクを低下させるtoll様受容体遺伝子の変異だ。また、RNAウイルスが感染する際にウイルスと相互作用するタンパク質の少なくとも一部は、ネアンデルタール人から受け継いだDNA領域によってコードされている。

 昨年著者らは、SARS-CoV-2に感染したヒトの重症化リスクに関係する、3番染色体に存在するハプロタイプがネアンデルタール人に由来することを示した。このハプロタイプの保有率は、南アジアの人々では最高65%だが、欧州は16%までで、日本も含む東アジアの国には保有者はほぼ見られなかった。現在のパンデミックでは不利になるこのハプロタイプは、過去に別の病原体に対して有利だったため、南アジアに多く受け継がれていると考えられる。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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