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Lancet Respiratory Medicine誌から
喘息がCOVID-19入院患者にもたらす影響は?
50歳以上の喘息患者は吸入ステロイドを使用しているとCOVID-19死亡率が下がる

 英国Imperial College LondonのChloe I Bloom氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した患者のうち、入院前から慢性呼吸器疾患があることや、吸入ステロイドを使用していたことがアウトカムに与える影響を調べるため、基礎疾患がないCOVID-19患者とリスクを比較するコホート研究を行った。喘息患者と慢性呼吸器疾患患者では、集中治療や死亡などのリスクに差があり、50歳以上の喘息患者では吸入ステロイド使用で死亡率の低下が見られたことなどを報告した。結果は2021年3月4日のLancet Respiratory Medicine誌電子版に掲載された。

 COVID-19パンデミックの当初は、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者がCOVID-19を発症すると重症化しやすいと考えられていた。しかし、観察データが蓄積されるにつれて、COPDは確かに重症化の危険因子であるとみられる一方で、喘息については、SARS-CoV-2の感染や重症化との関係が単純ではないことが分かってきた。背景に吸入ステロイドによる保護作用がある可能性も示されたが、ステロイドの使用が患者に利益をもたらすのかどうかは明らかではない。  

 そこで著者らは、呼吸器疾患が基礎にあるCOVID-19入院患者の特性を分析し、受けた治療のレベルを評価。院内死亡率を明らかにし、吸入ステロイドの影響を検討しようと考えて、大規模な前向きコホート研究ISARIC WHO CCP-UKスタディーで収集されたデータを分析することにした。

 組み入れ対象は、イングランド、スコットランド、ウェールズで、2020年1月17日から8月3日までに、SARS-CoV-2感染が確定した、または強く疑われたCOVID-19患者で、英国内258施設の医療機関に入院した人。病歴の記録から喘息やそれ以外の慢性呼吸器疾患がある患者を同定し、年齢に基づいて16歳未満、16~49歳、50歳以上に層別化した。喘息以外の慢性呼吸器疾患は、正確に分類できなかったが、大半はCOPDと考えられた。

 入院前の2週間に使用していた薬を調べ、吸入ステロイド、短時間と長時間作用性β刺激薬(LABA)、テオフィリン、ロイコトリエン受容体拮抗薬、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)などのうち、ステロイドとLABAを含む3種類を併用していた患者を重度の喘息患者と判定した。

 比較するアウトカムは、生存退院か死亡か、集中治療(ICUまたはそれに準ずる病室に入院)、侵襲的機械換気、非侵襲的換気、酸素補充療法などとした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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