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NEJM誌から
SARS-CoV-2変異株に対する中和活性は低い
mRNAワクチンの臨床試験参加者の血清を用いて変異株の中和活性を測定

 SARS-CoV-2ワクチンの接種が世界各国で進んでいるが、ウイルスの変異が次々と報告されている。ワクチンが誘導する中和抗体が、変異株にも有効かどうかを検討するin vitro実験が、Moderna社とPfizer/BioNTech社のワクチンのそれぞれについて行われた。結果はいずれもNEJM誌電子版にCorrespondenceとして2021年2月17日に報告された。

 米国Moderna社のSARS-CoV-2ワクチンmRNA-123は、臨床試験に参加した人々に高レベルの中和抗体を誘導し、COVID-19発症と重症化を予防する効果を持つことが示されている。先頃英国で見つかったSARS-CoV-2変異株B.1.1.7系統と南アで報告されたB.1.351については、感染性が増している可能性と、既感染者やワクチン接種者が持つ免疫反応を逃れる可能性が懸念されている。

 Moderna社のKai Wu氏らは、臨床試験参加者から採取した血清の、これら変異ウイルスに対する中和活性を検討するために、組み換え水疱性口内炎ウイルス(VSV)ベースのSARS-CoV-2偽ウイルスを用いた実験を行った。偽ウイルスには、武漢市で当初分離されたWuhan-Hu-1株、B.1.1.7系統、B.1.651系統のウイルスのスパイク蛋白質と、D614G変異やその他の変異(20E[EU1]、20A.EU2、N439K-D614G、デンマークで報告されたミンククラスター5のスパイク蛋白質上に認められている変異)を有するスパイク蛋白質を発現させた。

 フェーズ1に参加し、ワクチンの接種を受けた患者から、初回接種後36日(再接種から7日後)時点で採取した血清を用いて、偽ウイルスに対する50%阻害希釈倍率(ID50)を調べた。ワクチン接種者の血清が有効であることが示されている、D614G変異を有するWuhan-Hu-1株と比較すると、B.1.1.7系統に対する中和活性には差は見られなかったが、B.1.351系統では、ID50は6分の1未満になっていた。それでも、ワクチン接種を受けた8人の血清のB.1.351系統に対する幾何平均抗体価は1:290で、どの血清もこのウイルスを中和できた。また、20E[EU1]、20A.EU2、N439K-D614G、ミンククラスター5の変異をスパイク蛋白質に有する偽ウイルスに対する血清の中和活性は、D614G変異を持つWuhan-Hu-1株を対象とした場合と同様だった。

 今回得られた結果は、感染者から分離されるSARS-CoV-2のゲノム配列を継続的に評価し、ワクチンの有効性を確認していくことの重要性を示した。

 原題は「Serum Neutralizing Activity Elicited by mRNA-1273 Vaccine - Preliminary Report」、概要はNEJM誌のウェブサイトで閲覧できる。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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