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Ann Intern Med誌から
急性期病院でのSARS-CoV-2クラスターの分析
感染対策を実施しているBrigham and Women's Hospitalで発生したクラスター

 米国Harvard大学医学部のMichael Klompas氏らは、感染対策プログラムを実施している急性期病院のBrigham and Women's Hospitalで発生した大規模なSARS-CoV-2クラスターについて記述し、危険因子を分析して、2021年2月9日のAnn Intern Med誌電子版に報告した。

 Brigham and Women's Hospitalは、Harvard大学の教育病院で803床の病床を保有する。2020年2月から感染防止指針を実践しており、全ての従業員に対して、毎日健康状態を確認し、マスクの着用を義務づけ、マスクを着用していない患者と対面する機会には必ず眼の保護具も使用することになっていた。また、入院患者にも、医療従事者などが病室に入って来たらマスクをするよう指示し、面会者を限定し、入院時にはすべての患者にPCR検査を行い、COVID-19の症状を示す患者には連日検査を実施していた。さらに、COVID-19確定例と疑い例のケアを行うスタッフは、N95レスピレーターまたは電動ファン付呼吸用保護具(PAPR)と、眼の保護具、ガウン、グローブといった個人防護具(PPE)を着用した。COVID-19確定例は、COVID-19用陰圧室に入院させた。COVID-19が疑われる症状があるスタッフには、無料でPCR検査を実施し、陽性となったスタッフには、有給休暇を与えた。この対策により、パンデミックの最初の7カ月間は、院内感染率は非常に低く抑えられていた。

 2020年9月20日、感染管理部門に、総合診療科に入院している患者がSARS-CoV-2陽性になったという報告があった。この患者は入院時の検査では陰性だったが、入院から4日後に発熱があったため再検査を行い、陽性と判定された。翌朝、総合診療科の看護師1人がSARS-CoV-2陽性となり、2人の研修医にもCOVID-19が疑われる症状が現れていた。この看護師は4日前から症状があり、発症する2日前から勤務していたと報告した。

 検査で陽性となった患者と看護師の接触者に対してPCR検査を行った。その時点の検査対象者は限定的で、感染した看護師が発症する2日前からケアを担当していた患者と、陽性となった患者と同室に入院していた患者、陽性の看護師や患者と6フィート以内で、双方マスクをしていない状態で15分以上対面接触していた人とした。その結果、3つのユニットに入院していた4人の患者と、3ユニットのうちの1つで作業をしたスタッフ1人が陽性になり、さらに4人の陽性患者のうちの1人の診療に当たった医師1人も陽性と判定された。その2日後には、入院患者と、医師、看護師、スタッフに陽性者がでた。陽性となった患者は全員が、発端者が入院、移動した3ユニットのうちのいずれかに入院していた。医療従事者やスタッフは全員が、それらのユニットで作業をしたか、それらユニットに入院していた感染患者に接触していた。陽性患者のケアを担当した臨床チームは6つあり、それらは病院内の他のエリアの患者のケアにも当たっていた。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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