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Lancet誌から
ロシア製COVID-19ワクチンのフェーズ3試験
中間解析でCOVID-19発症予防効果は91.6%

 ロシア連邦保健省のDenis Y Logunov氏らは、ロシアで開発されたCOVID-19に対するアデノウイルスベクターワクチンGam-COVID-Vac(Sputnik V)のフェーズ3試験の中間解析で、18歳以上の人々に対するCOVID-19発症予防効果は91.6%だったと報告した。結果は2021年2月2日のLancet誌電子版に掲載された。

 Sputnik Vは、組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)と血清型5(rAdg)をベクターとして、SARS-CoV-2のスパイク蛋白質をコードする遺伝子を体内で発現させて、免疫応答を促すワクチンだ。アデノウイルスベクターを用いたワクチンは、単回投与で細胞性免疫と液性免疫の両方を誘導でき、2回接種すれば免疫反応はより長期に持続することが報告されている。しかし、1回目の接種後にベクターの成分に対する免疫反応が生じると、2回目の接種効果が低下する可能性がある。

 そこで研究者たちは、初回接種用と再接種用のワクチンに、異なる組換え複製欠損アデノウイルスベクターを用いることにした。実際に用いたのは、rAd26とrAd5に全長のスパイク糖蛋白質をコードする遺伝子を導入したワクチンで、2020年8月に終了したフェーズ1/2試験では、健康な人々に対する安全性とともに、液性免疫応答と細胞性免疫応答を強力に誘導できていた。この結果に基づいて、ロシア当局は、このワクチンに暫定的な使用許可を与えている。著者らは今回、フェーズ3試験の中間解析で得られた、有効性と安全性に関する予備的な結果を公表した。

 試験はモスクワ市内の25医療機関で行われた。組み入れ対象は、年齢18歳以上で、PCR検査によりSARS-CoV-2陰性が確認され、SARS-CoV-2に対するIgG抗体とIgM抗体は陰性で、登録前の2週間に呼吸器感染症にかかっておらず、30日以内に他のワクチンの接種を受けておらず、HIV・HBV・HCV・梅毒の検査が陰性だった人。女性の参加者は、尿検査で妊娠していないことを確認した。ステロイド、免疫グロブリン、免疫抑制薬などの治療を受けている人、結核や慢性感染症のある人などは除外した。

 条件を満たした参加者は、年齢により5群に層別化して(18~30歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳、60歳超)、3対1の割合でワクチンまたはプラセボにランダムに割り付けた。参加者は試験中ランダムに割り付けた数字で識別し、全てのスタッフに割り付けが分からないようにした。

 ワクチンは0.5mLを21日間隔で2回筋注した。初回接種には組換えアデノウイルス血清型26(rAd26)ベースのワクチンを、再接種には組換えアデノウイルス血清型5(rAd5)ベースのワクチンを用いた。プラセボ群には、ウイルス粒子を含まないワクチン用の調整バッファー液を用いた。

 免疫応答の分析は以下のように行った。初回接種日と42日後に採取した標本にELISA法を適用して、血清中の抗スパイク蛋白抗体と抗受容体結合ドメイン抗体を評価し、また、SARS-CoV-2のTCID50への血清標本の影響を調べて、中和抗体価を調べた。抗体陽性転換率も、初回接種から42日後の時点で評価した。細胞性免疫応答は、初回接種日と28日時点で採取した末梢血単核球を、スパイク蛋白質を用いて刺激し、測定したインターフェロンγの分泌量を指標に評価した。

 主要評価項目は、初回接種から21日後(再接種日)以降の、PCR検査で陽性が確認されたCOVID-19発症者の割合に設定された。副次評価項目は、COVID-19の重症度、抗スパイク蛋白抗体価の変化、中和抗体価、有害事象の発生率と重症度などに設定されていた。今回は主要評価項目に関する中間解析の結果と、有害事象の発生率と重症度、免疫原性と安全性について検討した。

 分析対象は、ワクチンまたはプラセボの接種を2回完了した人々とし、プロトコル違反と判断された参加者は分析から除外した。安全性の評価は、データベースロック日までに1回以上接種を受けていた全ての人々を対象に行った。まれな有害事象は、2回の接種を完了した人に発生したイベントとし、データベースロック日までに症例報告の内容を確認できた人を対象に分析した。

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シリーズ◎新興感染症
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