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Ann Intern Med誌から
COVID-19重症患者へ抗凝固薬の効果は期待薄
ICU収容から2日以内に抗凝固療法を開始しても死亡リスクは減少しない

 米国Massachusetts総合病院のHanny Al-Samkari氏らは、米国の67病院でICUに入院したCOVID-19成人患者を対象にコホート研究を行い、静脈血栓塞栓症(VTE)と大出血の発生率を調べ、ICU入院から2日以内の抗凝固薬投与が死亡率に及ぼす影響を検討し、抗凝固療法を受けた患者と受けなかった患者の死亡リスクに差がなかったと報告した。結果は2021年1月26日のAnn Intern Med誌電子版に掲載された。

 COVID-19患者の死亡と多臓器不全に、凝固系の亢進が重要な役割を果たす可能性が示されている。これまでに、COVID-19患者のVTE発症率、VTEの危険因子と、VTE関連の予後について検討した研究は、ほとんどが単一施設で行われていた。また、抗凝固療法が患者に利益をもたらすかどうかについて検討した大規模なランダム化比較試験のエビデンスは、まだ報告されていないため、適用についての判断は経験的に行われている。

 そこで著者らは、米国で行われた多施設コホート研究STOP-COVID(Study of the Treatment and Outcomes in Critically Ill Patients With COVID-19)のデータを用いて、ICUに入院したCOVID-19患者のVTE発症率、大出血の発生率、抗凝固療法が死亡に及ぼす影響を調べることにした。

 組み入れ対象は、STOP-COVIDに参加した米国の67病院で、COVID-19の診断が確定した18歳以上の患者で、2020年3月4日から2020年4月11日までにICUに入院した人。患者の追跡は、初回の退院、患者の死亡、または2020年5月8日まで継続した。入院前から抗凝固療法を受けていた患者と、ICU入院から2日以内に、既にVTEの発生が疑われたか確定した患者、ECMOが適用された患者、大出血を起こした患者、血小板数が50×109個/L未満だった患者は、組み入れから除外した。報告症例数が30人未満だった病院と、抗凝固療法を行った症例が10人未満だった病院のデータも除外した。

 参加病院の研究者は、患者の人口統計学的情報、併存疾患、症状、入院前に使用していた薬、バイタルサインと、ICU入院から14日間の毎日の生理学的データと検査値、適用された治療と治療薬、急性臓器障害に関する情報、退院時の生存状況などをデータベースに入力した。

 分析に用いるデータは、診断が確定したVTE(深部静脈血栓と肺塞栓を含む)、脳梗塞、大出血、などの発症率と臨床的特徴、28日死亡率とした。また、播種性血管内凝固(DIC)、ヘパリン誘発性血小板減少症(HIT)、凝固障害についても調べた。

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シリーズ◎新興感染症
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