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Lancet Gastroenterology and Hepatology誌から
英国の学会がIBD患者のSARS-CoV-2ワクチン接種を推奨
免疫抑制治療を受けている患者でもメリットがリスクを上回る

 英国消化器病学会炎症性腸疾患セクションと炎症性腸疾患臨床研究グループは、炎症性腸疾患(IBD)患者のSARS-CoV-2ワクチン接種に関する意見書を発表し、接種を強力に推奨した。意見書の内容は、2021年1月25日のLancet Gastroenterology and Hepatology誌電子版に掲載された。

意見書が示しているキーメッセージの要点は次の通り。
1.専門医はIBD患者のワクチン接種を強力に支持する。
2.IBD患者がワクチン接種した場合のリスクは非常に低い。
3.生物学的製剤や低分子薬などの免疫抑制薬を使用しているIBD患者に懸念されるのは、ワクチンの副反応ではなく、接種後に十分な免疫反応が得られない可能性である。
4.IBD患者は、英保健省と医薬品医療製品規制庁(MHRA)のガイダンスに沿って接種機会が提供されるSARS-CoV-2ワクチンなら、どれでもかまわないので接種を推奨する。
5.IBD患者に対するバイアスのない助言が必要であり、英国消化器病学会と英国の慈善団体Crohn's & Colitis UKから提供されるだろう。

 SARS-CoV-2に対するワクチンの集団接種は、感染をコントロールし、国民を保護するための最善の機会を提供する。Pfizer社とBioNTech社のワクチン(BNT162b2)、Oxford大学とAstraZeneca社のワクチン(ChAdOxl nCoV-19)、Moderna社のワクチン(mRNA-1273)については、臨床試験で顕著な有効性が示されているが、基礎疾患を有する患者に対する有効性と安全性については、現在のところエビデンスはない。しかしワクチンは、基礎疾患を有するなどの理由によりハイリスクと見なされる人々にとって、特に重要であることは確かだ。

 クローン病と潰瘍性大腸炎からなる炎症性腸疾患(IBD)は、免疫仲介性であるため、免疫抑制薬を処方されている患者が多い。そうした患者は、感染症に罹患しやすい可能性がある。COVID-19のパンデミックは、免疫抑制薬を使用している患者の日常生活に大きな制限を強いているが、患者がワクチンを接種しても、十分な効果は得られない可能性もある。しかし、接種の利益は、たとえTNF阻害薬使用者であっても、そうした理論上の懸念を上回ると予想される。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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