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Lancet Oncology誌から
COVID-19第1波が癌の放射線治療に与えた影響
英国で手術件数の減少を補うために放射線治療が増えた状況を示唆

 英国Leeds大学のKatie Spencer氏らは、COVID-19第1波に対する英国のロックダウン期間(2020年3月23日から6月28日まで)が、癌の放射線治療実施に与えた影響を調べるために、2019年のデータと比較して、前立腺癌や非メラノーマ性皮膚癌の放射線治療コースの実施数は前年より有意に減少していたが、食道癌、膀胱癌、直腸癌では増加していた。また、乳癌では1回の照射線量を大きく増やし、通院回数を減らす超寡分割照射の実施割合が増えていたと報告した。結果は2021年1月22日のLancet Oncology誌電子版に掲載された。

 英国では、癌患者の3分の1がロックダウン期間中に放射線治療を受ける予定だったと推定されているが、スタッフ不足などCOVID-19の制約により、手術や化学療法と共に治療体制の見直しが必要になった。癌治療中の患者は院内感染のリスクが高いため、施設ごとに個別のガイドラインを設けて、放射線治療を外科手術の代替として、または外科手術を待つ間の橋渡しとして適用することを含む内容が提案されていた。また、1回の照射線量を増やし、通院期間を短くする寡分割照射の検討も促していた。

 イングランドでは、NHS病院で行われた全ての放射線治療に関する情報がPublic Health England(PHE)に報告され、そこからNational Radiotherapy Dataset(RTDS)が形成されている。RTDSには毎年13万5000コースを超える放射線治療データが集められているため、著者らはこのデータを用いて、COVID-19の流行第1波期間中に放射線治療の適用実態がどのように変化したのかを調べる住民ベースの研究を実施した。

 対象は、イングランドで癌患者に放射線治療を行っているNHS傘下の52施設で、2019年2月4日から2020年6月28日までに治療を受けたあらゆる癌患者から、放射線治療の対象となった癌の種類、年齢、性別、放射線治療の目的(治癒目的、姑息的、その他)、線量(Gy)、分割照射計画、治療開始日、照射実施日などの情報を抽出した。

 英国でロックダウン開始以降の1週間当たりの放射線治療コースの開始件数、照射のための受診件数や、分割パターンを、前年同期と比較した。結果の有意性は、一般化線形回帰モデルを用いた分割時系列(ITS)解析により検討した。

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