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NEJM誌から
回復期血漿の早期投与はCOVID-19重症化を抑制
発症から72時間以内の軽症高齢患者ではプラセボ群より重症化率が低い

 アルゼンチンFundacion INFANTのRomina Libster氏らは、COVID-19の発症から72時間以内の軽症患者に回復期血漿を投与して、重症化を予防する効果を調べるランダム化比較試験を行い、早期に抗体価の高い回復期血漿を投与するとプラセボ群よりも重症化が抑制できたと報告した。結果は2021年1月6日のNEJM誌電子版に掲載された。

 COVID-19で入院した患者の重症化予防を目的として回復期血漿を使用した研究では、これまでのところ、好ましい結果は得られていない。これは投与時期が遅いためで、感染初期から抗体を投与すればより効果的なはずと考えた著者らは、症状の発症から72時間以内の軽症患者に抗体価の高い回復期血漿を投与して、COVID-19の重症化を予防する効果を調べることにした。

 試験参加者は、2020年6月4日から10月25日まで、高齢患者が受診するアルゼンチンの複数の医療施設で募集した。対象は、年齢が75歳以上、または65~74歳で1つ以上の併存疾患(薬物治療を受けている高血圧や糖尿病、肥満、慢性腎臓病、心血管疾患、COPDなど)があるCOVID-19患者。PCR検査によるスクリーニングを受けた時点で、体温が37.5度以上、発汗、悪寒のうちどれか1つ以上があり、それに加えて乾性咳嗽、呼吸困難、疲労感、筋痛、食欲不振、咽頭痛、味覚異常、嗅覚異常、鼻漏もどれか1つ以上あり、症状や兆候の持続時間は48時間未満の場合とした。7月22日以後は、法廷後見人の同意があれば、認知機能障害がある高齢者も参加可能とした。

 条件を満たした患者は、1対1の割合で回復期血漿群とプラセボ群に割り付けた。回復期血漿群には、SARS-CoV-2のスパイク蛋白質に対するIgG抗体価が1:1000を超える回復期血漿を250mLを、プラセボ群には0.9%生理食塩水を250mLを、発症から72時間以内に静注した。

 主要評価項目は重症呼吸器疾患への進行とし、呼吸数が30回/分以上、または室内気下の酸素飽和度が93%未満の場合とした。患者の状態評価は、静注から12時間後以降、組み入れから15日後まで観察を行った。副次評価項目は、生命に関わる呼吸器疾患(侵襲的換気やICU入室など)、重篤な全身疾患(ショックや多臓器不全など)、COVID-19関連死亡、とした。

 登録患者数が予定の76%になった時点で、試験は早期中止された。試験開始時点では多かったブエノスアイレスのCOVID-19患者がその後は減少し、目標としていた210人の参加を達成するのが困難と試験監視委員会が判断したためだ。

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シリーズ◎新興感染症
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