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NEJM誌から
SARS-CoV-2ワクチンによるアナフィラキシーの機序は?
現状で接種10万回当たり1件、アナフィラキシーにはPEGが関係か

 米国Brigham and Women's HospitalのMariana C. Castells氏らは、SARS-CoV-2に対するワクチンの副反応について概説し、既に米国で接種が開始された複数のmRNAワクチンに加え、今後登場する見込みのSARS-CoV-2ワクチンを多くの人々に安全に接種するための注意点をレビューし、NEJM誌電子版に2020年12月30日に報告した。

 mRNAワクチンに関する臨床試験では、局所の疼痛や、発赤、腫脹などの副反応は、プラセボ群よりワクチン群に生じやすいことが観察されていた。全身性の症状、たとえば、発熱、疲労感、頭痛、筋肉や関節の痛みなども、プラセボ群よりワクチン群にやや多く見られており、多くがワクチン接種後の最初の24~48時間に発生していた。

 Pfizer社とBioNTech社のmRNAワクチンと、Moderna社のmRNAワクチンのフェーズ1~3試験では、それまでにワクチンのいずれかの成分に対するアレルギー反応を経験していた人は参加者から除外されていた。さらにPfizer社-BioNTech社は、ワクチン関連の重症アレルギー反応の病歴を持つ人も除外していた。

 英医薬品規制庁(MHRA)は、世界で初めて、Pfizer社-BioNTech社のmRNAワクチンの緊急使用を承認し、医療従事者と高齢者を対象とした英国の集団予防接種プログラムを2020年12月8日に開始した。が、そこから24時間以内に、40歳と49歳の2人の女性にアナフィラキシーの可能性のある有害事象が発生した。この2人は食物と医薬品に対するアレルギー歴があったので、エピネフリン自己注射薬を持ち歩いていた。

 12月11日には米国食品医薬品局(FDA)も、Pfizer社-BioNTech社のmRNAワクチンに対して緊急使用許可(EUA)を発行し、12月14日には医療従事者に対する接種を開始した。すると、翌12月15日にアラスカ州の32歳の女性が、初回接種から10分以内にアナフィラキシー反応を示した。この女性にはアレルギー歴はなかった。

 これら3人の女性は、臨床試験の除外対象には含まれない人々だった。米国での接種が進み、約200万人の医療従事者に対する接種が済んだ時点で、さらに複数件のアナフィラキシーの報告があり、Pfizer社-BioNTech社のワクチン関連のアナフィラキシー発生率は接種10万回当たり1件で、既存のワクチンの100万回当たり1件の約10倍であると推定された。

 一方で、Moderna社のmRNAワクチンの緊急使用許可は12月18日に発行されたが、現時点では、Pfizer社-BioNTech社の製品と同様にアナフィラキシーの発生率が高いかどうかは不明だ。しかし、12月24日にボストンの医療従事者に発生したアナフィラキシー疑い症例など、数件の発生が報告されている。この医療従事者は甲殻類アレルギー歴があり、エピネフリン自己注射薬を携行していた。

 MHRAは、Pfizer社-BioNTech社のワクチン接種後の2件のアナフィラキシー発生を受けて、ワクチンの接種を一時中断し、あらゆる食品、医薬品、ワクチンに対するアナフィラキシー歴のある人々を接種対象から除外した。

 米国CDCは、これら2通りのワクチンの初回投与または再投与においては、ワクチンに含まれる、ポリエチレングリコール(PEG)やPEG誘導体(ポリソルベートなど)の、あらゆる成分に対して、重症のアレルギー反応または接種後4時間以内のアレルギー反応の経験がある人を除外するよう勧告した。

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