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JAMA Cardiology誌から
COVID-19患者の心筋梗塞メカニズムを調べる
冠動脈の血栓標本に存在する好中球細胞外トラップが関与か?

 スペインPuerta de Hierro-Majadahonda大学病院のAna Blasco氏らは、ST上昇心筋梗塞(STEMI)を発症して経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者の血栓サンプルを調べ、2020年のCOVID-19患者と2015年にSTEMIを発症した患者を比較したところ、COVID-19患者の全員から好中球細胞外トラップ(NETs)が見つかったため、COVID-19患者の心筋梗塞発症にNETsが大きな役割を果たしている可能性があると報告した。結果は2020年12月29日のJAMA Cardiology誌電子版に掲載された。

 NETsとは、好中球の核内に存在していたDNAやヒストン、また細胞質と好中球顆粒中に存在していた好中球エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼなどの蛋白質が凝集したものが、細胞外に放出されて形成した線維状の構造物で、病原体を付着させトラップすることにより病原体を封じ込める役割を持っている。一方で、過剰な発動が、炎症や血栓症と関係することも知られている。COVID-19の特徴の1つとしてNETsの過剰生成が見られており、COVID-19患者の転帰にNETsが関係する可能性が指摘されていた。

 重症のCOVID-19患者に生じることが多い急性の心損傷は、患者死亡の原因になり得る。COVID-19患者におけるSTEMIの発症機序は明らかではないため、著者らは、STEMIを発症したCOVID-19患者の冠動脈から吸引した血栓を対象として、免疫組織科学的な分析を行い、冠動脈血栓症におけるNETsの役割を検討することにした。

 対象は、2020年3月23日から4月11日までにSTEMIを発症したCOVID-19患者で、スペインMadridにある大学病院でPCI治療を受けた患者。この期間にPCI治療を受けた患者は10人で、そのうち5人からPCI治療を実施する際に血栓回収デバイスで冠動脈の血栓標本を吸引することができた。対照群は、2015年7月から12月までにSTEMIを発症し、PCI中に冠動脈血栓の標本が採取されていた連続する患者50人とした。

 患者に関連する臨床情報として、年齢、性別、身長、体重、心血管危険因子、PCIの時間、発症から治療までの時間、標的血管、病変血管の数などを調べた。

 主要評価項目は、COVID-19でSTEMIを発症した患者に由来する吸引物中のNETsの存在と量に設定した。血栓標本をホルマリン固定後、パラフィン包埋し、共焦点顕微鏡と画像解析を用いて、NETsのマーカーである、ミエロペルオキシダーゼ-DNA複合体とシトルリン化ヒストンH3の共存を検出した。血栓の免疫組織化学的解析も行った。

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