日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
SARS-CoV-2抗体カクテルのフェーズ1~2試験
免疫が誘導される前のCOVID-19外来患者に有益な可能性

 米国Regeneron Pharmaceuticals社のDavid M. Weinreich氏らは、互いに競合しない2種のSARS-CoV-2に対する中和抗体を混合した抗体カクテルREGN-COV2を、外来を受診した症候性のCOVID-19患者に投与する臨床試験を進めている。今回はフェーズ1~2試験に参加した275人に投与した結果の中間解析で、REGN-COV2にはベースラインで抗体陰性だった患者のウイルス量を下げる効果があったと報告した。結果は2020年12月18日のNEJM誌電子版に掲載された。

 REGN-COV2は、SARS-CoV-2のスパイク蛋白質を認識し、このウイルスに対する中和作用を持つ完全ヒトモノクローナル抗体2種(REGN10933とREGN10987)を組み合わせた抗体カクテルだ。ウイルスの細胞への侵入を阻止することにより、増殖を抑制すると期待されている。同社では以前に、RSウイルス感染症の治療に単独の中和抗体を用いたところ、治療抵抗性の変異ウイルスの出現を経験したことから、変異対策として異なる抗体を併用するカクテル作戦を取ることにした。

 SARS-CoV-2感染が成立してから、患者は様々な段階で外来を受診する。著者らは、REGN-COV2が最も役立つのは、COVID-19を発症しているが、まだ抗体が誘導されていない段階の患者だと考えた。そこで外来患者に臨床試験に参加してもらうに先立って、ベースラインで抗体検査を受けてもらい、抗体陽性か陰性かを判定することにした。

 進行中の臨床試験は、二重盲研の多施設ランダム化比較試験で、有効性と安全性に問題が起こらなければ、フェーズ1からフェーズ3まで連続的に参加者を増やして規模を拡大していく試験デザインだ。組み入れ対象は、症状があって外来を受診した18歳以上のCOVID-19患者。SARS-CoV-2感染が確認されており、発症から7日以内で、抗体陽性の場合でも72時間は経過していない患者とした。

 ベースラインの抗体検査では、スパイク蛋白質S1サブユニットに対するIgA抗体とIgG抗体、抗ヌクレオカプシドIgG抗体の3種類を調べた。どれか1つでも陽性だった場合は陽性群と判定し、全てが陰性だった患者は陰性群に分類した。

 フェーズ1~2試験では、参加者を1対1対1の割合で、プラセボ群、REGN-COV2 2.4g(低用量群)、REGN-COV2 8.0g(高用量群)にランダムに割り付けた。割り付け薬のカクテルは250mLの生理食塩水水溶液として、1時間以上かけて点滴静注した(プラセボ群は生理食塩水のみ)。その後はプロトコールに従ったスケジュールで、定量的ウイルス検査と抗体検査を実施した。

 主要なウイルス学的評価指標は、抗体陰性だった患者の、ベースラインから7日目までのウイルス量の時間加重平均変化量とした。臨床的評価指標は、対象者全体および抗体陰性者の中で、29日後までに1回以上COVID-19関連の受診を要した患者の割合に設定した。なお、Regeneron Pharmaceuticals者の一部の従業員が、ブラインド化されていない初期の試験データにアクセスしてしまったため、公式な主要評価項目の評価ができなくなってしまっている。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

この記事を読んでいる人におすすめ