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Lancet Child & Adolescent Health誌から
SARS-CoV-2感染小児の中枢神経異常の特徴
MRIやCT画像は急性散在性脳脊髄炎などを示唆する

 米国California大学San Francisco校のCamilla E Lindan氏らは、SARS-CoV-2感染小児の中枢神経系の症状について分析するために、世界中から症例データを集めて神経画像データを中心に検討し、それまで健康に成長していた小児でも、SARS-CoV-2感染に関連した急性期または遅発型の中枢神経系異常が見つかったと報告した。結果は2020年12月15日のLancet Child & Adolescent Health誌電子版に掲載された。

 COVID-19に関する初期の報告では、重症化するリスクが高いのは高齢者で、小児はSARS-CoV-2に感染しても、8割は無症状か軽症ですみ、重症化のリスクは低いとされていた。しかし、世界的な患者数の増加と共に、呼吸器以外の臓器や全身性の異常についての報告が増えており、小児でも多臓器炎症症候群(MIS-C)と呼ばれる症例が見つかるようになった。複数の症例研究をレビューしたところ、MIS-C患者の34%に神経症状が見られたという。しかし、これまでの報告では、COVID-19小児患者に起こる中枢神経系症状の有病率を推定したり、全体像を把握することは困難だった。

 そこで、American Society of Pediatric Neuroradiology(ASPNR)は、国際的に症例データを蓄積するための呼びかけを開始することにした。この論文で著者らは、COVID-19小児患者の中枢神経画像所見について理解を深めるために、10カ国から提供された症例データを分析している。

 ASPNRは電子メールや国際電話で会員に調査を依頼し、年齢が0~18歳のCOVID-19小児患者で、神経画像に異常が見つかった症例を集めた。集まったデータの分析は、神経放射線学、小児神経学、小児感染症学の専門家からなるPediatric COVID Brain Imaging Groupを結成した医師たちが担当することにした。グループの医師たちには、画像、臨床データ、上気道のPCR検査、SARS-CoV-2抗体についての血清検査、脳脊髄液の検査結果、臨床アウトカムなどの情報が提供された。

 ASPNRの呼びかけに対して、2020年4月30日から9月8日までに32カ国から429件の返答があった。SARS-CoV-2感染が確定できていなかった症例や、他の代替診断がつく可能性が高い症例は除外することにした。神経学的症状があった小児の情報を精査して、最終的に、SARS-CoV-2感染に関係する中枢神経障害と判定された小児患者38人を選んで分析した。国別では、フランス13人、英国8人、米国5人、ブラジル4人、アルゼンチン4人、インド2人、ペルー1人、サウジアラビア1人だった。

 それらの患者を、SARS-CoV-2に曝露したと考えられるタイミングと症状に基づいて、以下の4群に分類した。急性COVID-19(カテゴリー1;12人)、無症候性の急性または亜急性のSARS-CoV-2感染症(カテゴリー2;8人)、MIS-C(カテゴリー3;11人)、不確定(カテゴリー4;7人)。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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