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NEJM誌から
バリシチニブはCOVID-19入院患者の回復を促進
レムデシビルを併用し、バリシチニブとプラセボを比較した臨床試験

 米国Nebraska大学医療センターのAndre C. Kalil氏らは、レムデシビルにヤヌスキナーゼ阻害薬のバリシチニブを併用して、プラセボ併用と比較するランダム化比較試験を行い、バリシチニブ併用群はレムデシビル単独群よりも、COVID-19で入院した患者の回復が有意に早かったと報告した。結果は2020年12月11日のNEJM誌電子版に掲載された。

 経口投与が可能な選択的ヤヌスキナーゼ1+2阻害薬のバリシチニブは、COVID-19治療薬候補の1つと考えられている。バリシチニブは、COVID-19患者で発現が上昇するサイトカイン(IL-2、IL-6、IL-10、INFγ、GM-CSF)が関与する細胞内信号伝達経路を阻害する。また、AP2-associated protein kinase 1を阻害することで、SARS-CoV-2がヒトの細胞内に侵入するのを妨げる作用もあるのではないかと考えられている。

 そこで著者らは、レムデシビルがFDAに承認されるきっかけとなったACTT-1試験の完了後に、米国立アレルギー感染症研究所の後援を受けて、新たに二重盲検のランダム化比較試験であるACTT-2を設計し、バリシチニブとレムデシビルを併用すると、レムデシビル単剤に比べ、COVID-19患者の回復が早まるかどうかを検討することにした。

 ACTT-2試験参加者の組み入れは、2020年5月8日から2020年7月1日まで、8カ国(米国、シンガポール、韓国、メキシコ、日本、スペイン、英国、デンマーク)の67施設で行われた。対象者はCOVID-19入院患者で、バリシチニブ併用群とプラセボ併用群に、1対1の割合でランダムに割り付けた。レムデシビルは全員に投与した。

 レムデシビルの初日の負荷用量は200mgとし、2日目から10日目(あるいは退院または死亡)までは維持用量として100mgを静注した。バリシチニブは1日4mg(2mgを2錠)を服用するか、経鼻胃管を介して14日間(または退院まで)投与した。ただし、推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2未満の患者の投与量は1日2mgとした。プラセボもバリシチニブと同様に14日間投与した。参加者全員が標準的な対症療法を受け、禁忌に該当しなければ、血栓塞栓症の予防的治療も推奨した。その他の薬の試験的投与や適応外使用は、原則として禁止した。ステロイドの使用は、副腎機能障害、喘息の増悪、喉頭浮腫、肺血性ショック、急性呼吸窮迫症候群を起こした患者では許可した。

 参加者の病状は、入院中は毎日評価し、29日後まで続けた。主要評価項目は回復までの時間とし、8段階のオリジナルスケールを用いた。スコア1から3(活動に制限のない状態での退院から、酸素療法も治療も必要としない入院まで)に該当するようになった最初の日を回復と見なした。副次評価項目は、15日時点の臨床状態、ベースラインから1段階改善するまでの時間、入院日数、14日目と28日目の死亡率などとした。

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