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NEJM誌から
COVID-19肺炎患者に回復期血漿の効果示せず
アルゼンチンのRCTで治療成績はプラセボ群と有意差がない

 アルゼンチンItaliano de Buenos Aires病院のVentura A. Simonovich氏らは、重症のCOVID-19肺炎患者を対象に、回復期血漿またはプラセボを投与して治療効果を比較するランダム化比較試験を行い、30日後のアウトカムに差はなかったと報告した。結果は2020年11月24日にNEJM誌電子版に掲載された。

 COVID-19患者に回復期血漿を用いる治療が多くの国で試みられているが、多くは経験的に行われており、ランダム化比較試験で有効性を確認したのはアルゼンチン出血熱など一部の疾患に限られる。SARSやMARS、鳥インフルエンザなどの疾患でも回復期血漿のエビデンスは少ない。そこで著者らは、回復期血漿は重症のCOVID-19肺炎患者の臨床アウトカムを改善するという仮説を検証するためにPlasmAr試験を計画した。

 PlasmArはアルゼンチンの12施設が参加した二重盲研のプラセボ対照ランダム化比較試験だ。組み入れ対象は、年齢が18歳以上で、RT-PCR検査でSARS-CoV-2感染を確認し、X線画像により肺炎が確かめられた入院患者。救命処置を拒否するという意思表示がなされておらず、以下の3つの基準の少なくとも1つに該当することとした。1)室内気で安静時のSaO2が93%未満、2)PaO2:FiO2が300mmHg未満、3)SOFAスコアまたは修正SOFAスコアがベースラインに比べ2点以上上昇。

 条件を満たした患者は2対1の割合で、回復期血漿群とプラセボ群に割り付けた。両群ともCOVID-19の標準的な治療を行い、回復期血漿とプラセボ(生理食塩水)は単回投与した。回復期血漿のドナーは、SARS-CoV-2に対する総抗体の抗体価が1:400以上の人とし、1人の患者に1人のドナーから、または2~5人の血漿をプールしたものを投与した。介入群全員に、抗体価が1:800超の血漿を投与できるよう調整した。

 主要評価項目は、介入から30日後の臨床アウトカムに設定し、WHOの臨床スケールを用いて6段階で評価した。スコア1は死亡、2は侵襲的換気が必要、3は酸素療法が必要な状態で入院中、4は酸素療法は不要だが入院中、5は入院前の状態に完全に戻ったわけではないが退院、6は完全に回復して退院。

 副次評価項目は、7日目と14日目の臨床スケール、退院までの日数、ICUから出られるまでの日数、スケールが2段階以上改善するまでの時間、死亡までの時間、完全回復までの時間などとした。参加者の抗体価、フェリチン、Dダイマーなども定期的に測定した。

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