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Lancet Respiratory Medicine誌から
吸入IFNβ-1aをCOVID-19患者に使う臨床試験
フェーズ2試験で英国のCOVID-19入院患者の症状改善を促進

 英国Southampton総合病院のPhillip D Monk氏らは、COVID-19を発症し入院している患者に対する、吸入インターフェロン(IFN)β-1a製剤SNG001の有効性と安全性を検討するために、二重盲検のフェーズ2試験を英国内9施設で実施し、14日間の投与でプラセボに比べ有意な症状改善が見られたと報告した。結果は2020年11月12日のLancet Respiratory Medicine誌電子版に掲載された。

 IFN-βは、ウイルス感染時に最初に誘導されるサイトカインで、ヒトの肺では自然免疫を誘導する主要な因子であることが知られている。In vitro実験では、SARS-CoV-2がIFN-βの放出を抑制することが示されており、先に行われた臨床試験は、COVID-19患者では、重症者ほどIFNの活性が低下していることを示唆した。また、併存疾患がある人、高齢者、免疫抑制療法を受けている患者などのハイリスク群では、そうでない人々に比べIFN-βの産生が減少していることから、これが、肺疾患の重症化のリスクを高めていると見られている。

 SNG001は、ネブライザーで噴霧化して吸入するタイプの組換えIFN-β製剤で、ウイルス性下気道疾患の治療を目的として開発された。吸入処方であるため、肺に十分な量のIFNβを送達できる一方で、全身への影響は小さいと考えられている。喘息やCOPDの患者230人にSNG001を投与した臨床試験では、忍容性が示されている。さらに、呼吸器ウイルス感染症を発症した喘息患者を対象とするフェーズ2試験では、プラセボよりも肺機能を改善する効果が大きかったと報告されている。そこで著者らは、SNG001がCOVID-19患者の下気道症状の重症化を抑制し、回復を促進する可能性について検討するために、フェーズ2パイロットスタディを計画した。

 試験には英国の9施設が参加した。対象は、COVID-19の症状があり、入院した18歳以上の成人患者。PCR検査またはポイントオブケア検査によって、SARS-CoV-2感染が確定してから24時間以内の患者を選んだ。ネブライザー用のマウスピースを使えない患者(挿管中など)、妊婦や授乳中の女性などは組み入れから除外した。

 条件を満たし試験参加に同意した患者は、1対1の割合でSNG001群(IFNβ-1a 6ミリユニット)またはプラセボ群に割り付けた。両群とも参加施設の標準治療を併用した。割り付け薬はネブライザーですぐ使えるように、シリンジに充填した水溶液の状態で提供された。これを1日1回吸入してもらい、最長14日間まで続けた。14日未満で退院した患者については、電話やメールを使って評価を継続した。追跡は28日後まで行った。

 主要評価項目は、投与期間中の臨床状態の変化とし、WHO Ordinal Scale for Clinical Improvement(OSCI)を用いて評価した。OSCIのスコアは、0が症状なしで、8は死亡となる。副次評価項目は、Breathlessness Cough and Sputum Scale(BCSS)スコアの変化、安全性と忍容性にした。BCSSスコアは息苦しさ、咳、喀痰の3項目を0~4点で評価する。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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