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JAMA誌から
フルボキサミンはCOVID-19患者に役立つか?
サイトカインの産生を制御する機能に着目した予備的試験

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のフルボキサミンは、サイトカインの産生を制御するσ-1受容体の作動薬としても機能することから、COVID-19患者の炎症重症化を抑制できる可能性がある。米国Washington大学(ミズーリ州)のEric J. Lenze氏らは、軽症のCOVID-19患者にフルボキサミンを投与する予備的なランダム化比較試験を行い、プラセボ群に比べ症状が悪化して入院する患者の割合が少なかったと報告した。結果は2020年11月12日のJAMA誌電子版に掲載された。

 これまでの基礎研究で、フルボキサミンのσ-1受容体への結合親和性が高いこと、敗血症モデルマウスに投与すると、炎症反応によるダメージと、敗血性ショックへの進行が抑制されることが報告されている。そこで著者らは、軽症COVID-19患者の初期治療にフルボキサミンを用いることで、臨床的悪化を防ぐことができるかについて調べる臨床試験を計画した。

 参加者は2020年4月10日から8月5日までに、セントルイス市近郊の大都市圏で募集した。対象は、PCR検査によってSARS-CoV-2感染が確定した人々で、発症から7日以内であり、酸素飽和度が92%以上で、入院はしていない、成人の軽症COVID-19患者。評価時点で入院が必要な患者、室内気で酸素飽和度が92%未満の患者、肺に基礎疾患のある患者、免疫抑制状態の患者、ステロイドなどを使用中の患者などは、組み入れから除外した。

 医療施設や検査センターから紹介された患者に加え、地方のテレビ局や新聞でも参加者の募集を行った。条件を満たした患者は、隔離施設または自宅で待機中のため、患者とのコミュニケーションには電話やメールを使用し、直接接触する機会を設けずにフルリモートで試験を実施した。割り付け薬に加えて、パルスオキシメーター、体温計、自動血圧計などの機器を、患者の滞在先に配送し、バイタルサインを自己評価してもらった。データの収集には、米国Vanderbilt大学が開発したREDCap surveysを使用した。毎日の症状は1日2回、調査票に記入してもらった。

 条件を満たした患者は、1対1の割合でフルボキサミン群またはプラセボ群にランダムに割り付けた。年齢と性別はあらかじめ層別化して、両群に偏りがないようにした。参加者には、割り付けを行った日の夕方に50mgのフルボキサミンまたはプラセボを届け、その後2日間は1日2回100mgを服用し、その後は患者が認容できれば1日3回100mgまで増量し、15日目まで服用してもらった。

 主要評価項目はランダム割り付けから15日以内の臨床的な悪化とし、1)息切れの出現、または息切れや肺炎による入院、2)室内気での酸素飽和度が92%未満に減少、または、92%以上を達成するために酸素補充療法が必要、という2つの条件の両方を満たした場合に、悪化と判定した。

 副次評価項目は、0~6点の7段階のスケールで表した臨床的な悪化とした。0)悪化なし、1)息切れがあり、酸素飽和度は92%未満だが、酸素補充療法は不要、2)息切れがあり、酸素飽和度は92%未満で、酸素補充療法が必要、3)酸素飽和度が92%未満で、酸素療法が必要、かつ呼吸困難または低酸素症により入院、4)3に加えて人工呼吸器を3日未満使用、5)3に加えて人工呼吸器を3日以上使用、6)は死亡とした。また、0(症状なし)~10(極めて重症)まで11段階の重症度スケールも用いることにした。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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