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Lancet Psychiatry誌から
精神疾患とCOVID-19の間に双方向性の関係?
6万2354人のCOVID-19患者と傾向スコアをマッチさせた患者の精神疾患リスク比較

 英国Oxford大学のMaxime Taquet氏らは、匿名の診療データを6980万人分集めているネットワークを利用したコホート研究を行い、COVID-19と診断された人はその後に精神疾患の発症リスクが増加するか、逆に精神疾患の病歴がある人は一般の人よりCOVID-19と診断されるリスクが高いのかについて検討し、どちらも有意なリスク増加が見られたと報告した。結果は2020年11月9日にLancet Psychiatry誌電子版に掲載された。

 COVID-19が精神面に及ぼす悪影響として、不安や抑うつなどのリスクの上昇が想定されているが、そうした影響を正確に評価するのは難しい。一方、COVID-19の身体的な危険因子は複数報告されているが、精神的な健康もCOVID-19の危険因子になるのかどうかは明らかではなかった。そこで著者らは、匿名化されている電子医療記録ネットワークTriNetX Analytics Networkを利用する大規模なコホート研究を計画した。

 TriNetXは、米国のヘルスケア提供組織54団体の電子診療記録データを匿名化して集積しており、患者数にして合計約6980万人分を集めている。

 最初に、COVID-19患者の後遺症として精神疾患発症リスクが増加するかを調べるために、TriNetXのデータから、2020年1月20日から8月1日までにCOVID-19と診断されていた年齢10歳以上の患者6万2354人を選び出した。次に、対照群として同じ期間にそれ以外の疾患(インフルエンザ、他の呼吸器感染症、皮膚感染症、胆石、尿路結石、大きな骨の骨折)で受診していた患者を選び出した。分析時点(2020年8月1日)までに亡くなった患者と、それ以前に精神疾患の既往歴がある患者はコホートの組み入れから除外した。

 その上でCOVID-19患者のコホートと他の6種類の疾患のコホートから、最近傍マッチング法(greedy nearest neighbour matching)で傾向スコアが最も近い組み合わせのペアを1対1の割合で選び出した。マッチングさせた条件は50種類の変数で、内訳は28種類のCOVID-19の危険因子と、22種類のCOVID-19重症化の危険因子とされる状態だ。こちらの主要評価項目は、COVID-19診断の14日後から90日後までの、精神疾患、認知症、不眠症の診断に設定した。

 一方、精神疾患の病歴がある人はCOVID-19発症リスクが増加するかを調べるために、2種類のコホートを作成した。第1のコホートは、前年(2019年1月21日~2020年1月20日)に精神疾患の診断を受けた18歳以上の患者とした。第2のコホートは、精神疾患の病歴はないが、同じ期間に医療機関を受診した患者とした。こちらも分析時点(2020年8月1日)までに亡くなった患者はコホートから除外した。2つのコホートから、28種類のCOVID-19の危険因子をマッチングさせ、精神疾患群と傾向スコアが最も近い組み合わせのペアを選び出した。こちらの主要評価項目は、COVID-19と診断される相対リスクとした。

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シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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