
こばやし・たかこ●1986年愛知医科大学卒業。95年にオーストラリアへ移住。2004年にオーストラリア医師免許審査試験に合格し、GPの専門研修を経てGP専門医資格を取得。現在はRACGP認定専門医(FRACGP)としてブリスベンで地域医療に携わりながら、豪クイーンズランド大学臨床医学部プライマリ・ケア・ユニットの上級講師としてGPレジストラー(専攻医)や医学生の教育、専門医試験の試験官などを行っている。
オーストラリアの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策について報告させていただいてから(関連記事:豪ではGPがCOVID-19対策の最前線に)、早6カ月余りがたちました。
オーストラリアはこれから、暑い夏になります。日本が暑い夏を過ごしている間、こちらはインフルエンザが流行する冬を迎えました。
幸い、オーストラリアではインフルエンザの流行はなく、私が住んでいるクイーンズランド州は大きなCOVID-19の流行も起こりませんでした。今では、ほぼコロナ前の生活や経済活動に戻りつつあります。
私もこちらの秋から冬にかけてたった1例、パンデミックになる直前にインフルエンザの患者さんを経験したのみです。
QML(Queensland Medical Laboratory)という、クイーンズランド州で最も大きな臨床検査会社が出している感染状況のデータでは、2020年の3月から6月までのA型インフルエンザの感染者報告数は75人。去年(2019年)の同じ時期は3179人ですから、昨年比で約2.4%でした。
なぜインフルエンザがこれほど少なかったのか、公式な見解はありませんが、social distance, stay home and wash handsを多くの人が実行したこととマスクを着用したことが、COVID-19と同時にインフルエンザも予防したのだと思います。
なお、オーストラリアでは今年、約880万人がインフルエンザのワクチンを接種しました。去年よりも220万人多いです。