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Lancet Infectious Disease誌から
SARS-CoV-2の感染封じ込めに有効な政策は?
移動制限など131カ国の政策が実効再生産数に与えた影響を比較

 英国Edinburgh大学のYou Li氏らは、2020年7月までに世界の131カ国で行われた、様々な非薬物療法的介入(NPI)の導入および解除と、実効再生産数(Rt;ある時点で1人の感染者が何人に2次感染させるか)の関係を分析し、感染抑制に有効だったNPIを同定して、Lancet Infectious Disease誌電子版に2020年10月22日に報告した。

 SARS-CoV-2の感染拡大対策として、世界各国が都市封鎖や移動制限、外出制限などさまざまな政策を実施した。中国や香港、韓国、シンガポール、欧州の多くの国で行われた研究により、NPIがRtの低下に有用だったことは示されている。しかし、NPIの解除がRtに与えた影響についての報告は、ほとんどなかった。そこで著者らは、131カ国のデータを利用して、NPIの導入と解除がSARS-CoV-2の伝播に及ぼした影響を、Rtの経時的な変化を指標として検討するモデル化研究を行った。

 著者らは、London大学衛星熱帯医学大学院がEpiForecastsプロジェクトにおいて推定した各国の毎日のRtと、Oxford COVID-19 Government Response Trackerが、2020年1月1日から7月20日までに収集した、それぞれの国のNPI実施状況に関する情報を関連づけた。

 分析対象にしたのは、学校閉鎖、職場閉鎖、公的なイベント禁止、10人以上の集会禁止、公共交通機関の運行停止、ステイホーム指示、国内移動制限、海外渡航制限という、8種類のNPIだ。個々のNPIの導入または解除からの期間をフェーズと呼び、前のフェーズの最終日のRtに対する、現在のフェーズの1日当たりのRtの比(Rt比)を求めて、NPIとSARS-CoV-2伝播の関係の指標とした。

 131カ国の790フェーズを分析対象にした。フェーズの長さは中央値で11日(四分位範囲3~27日)、各国で最も多く行われていたのが、ステイホーム指示と国内移動制限で、それらは同時に行われることが多かった。8種類のNPIのうち、最も早期に導入され、最も遅く解除されたのが、学校閉鎖と公的なイベント禁止だった。反対に導入時期が遅く解除が早かったNPIは、ステイホーム指示と公共交通機関の運行停止だった。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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