日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
COVID-19患者への回復期血漿の効果は限定的
インドで行われたフェーズ2試験では重症化と総死亡に対照群と有意差なし

 COVID-19を発症し、回復した患者の血漿には中和抗体が含まれていることから、世界各国で、回復期血漿をCOVID-19の治療に用いる試みが進められている。インドIndian Council of Medical ResearchのAnup Agarwal氏らは、中等症の成人患者を登録して、回復期血漿と標準治療、または標準治療のみに割り付けて成績を比較するランダム化比較試験(RCT)を行ったが、28日以内の重症化または死亡に対する介入の利益は見られなかった。結果はBMJ誌電子版に2020年10月22日に報告された。

 COVID-19の治療に回復期血漿を用いた観察研究では、この介入が死亡リスクや入院リスクを減らすと報告しているものがある。しかし、中国とオランダで行われたRCTは、試験デザインが不十分でエビデンスを示せずに中止された。先に行われた系統的レビューでも、COVID-19入院患者に対する回復期血漿治療の安全性と有効性については、判断は保留されていた。

 にもかかわらずいくつかの国で、回復期血漿は既にCOVID-19治療の1つとして承認されている。しかし、回復期血漿の利益を得られるのは、重症度がどのくらいの患者なのか、また、含まれる中和抗体がどの程度あれば有効か、最適な投与のタイミングがいつなのか、などは明らかではない。提供者についても、回復のどの段階で血漿を採取すれば最も効果が高いのかは不明なままだ。そこで著者らは、インドで中等症のCOVID-19患者を対象とするオープンラベルの多施設フェーズ2試験を行い、回復期血漿が重症化と死亡に及ぼす影響を検討することにした。

 PLACID試験は、インド国内の高度医療施設39カ所で実施した。このうち29施設が教育病院、10施設が私立病院で、分布は14州25都市にまたがっている。2020年4月22日から7月14日までにこれらの施設に入院した18歳以上のCOVID-19確定例をスクリーニングし、次のような「中等症」の定義を満たす患者を対象とした。組み入れ条件は、PaO2/FiO2が200~300mmHgの間、呼吸数は24回/分以上で室内気での酸素飽和度が93%以下の患者で、マッチするドナーからの回復期血漿が利用できる人とした。免疫グロブリンや血液製剤の治療を受けた患者や、妊婦などは除外した。

 回復期血漿のドナーは、年齢18~65歳の体重50kg以上の男性と出産経験のない女性で、COVID-19の診断が確定し、少なくとも発熱と咳を経験した後、症状が完全に治まってから28日が経過していた人。または、鼻咽頭スワブを対象として24時間間隔で行われたRT-PCR検査が2回とも陰性になってから14日が経過していた人とした。血液スクリーニングで、ABO式とRh式血液型、HIV、肝炎ウイルス、梅毒、マラリアなどに感染していないことを確認した。

 条件を満たした患者は、1対1の割合で標準治療+回復期血漿(介入群)と標準治療のみ(対照群)にランダムに割り付けた。標準治療は、試験当時の利用可能なエビデンスに基づきインド政府当局が作成した、COVID-19患者管理ガイドラインに従って、参加施設が作成したプロトコールによることとした。参加施設で許可されていた標準治療は、抗ウイルス薬(ヒドロキシクロロキン、レムデシビル、ロピナビル・リトナビル、オセルタミビル)、広域抗菌薬、ステロイド、トシリズマブ、非侵襲的な酸素補充療法だった。介入群の患者は、標準治療に加えて、200mLの回復期血漿を24時間間隔で2回輸血された。1回目と2回目は、可能な限り異なるドナーからのものを用いた。

 主要評価項目は、組み入れから28日以内の重症化(PaO2/FiO2が100mmHg未満)、または28日以内の総死亡率とした。これらのイベントを予防できた場合を成績良好、できなかった場合を成績不良とした。副次評価項目は、症状消失までの時間、7日目に発熱・息切れ・疲労が回復した患者の割合、酸素要求度の変化、入院日数などとした。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

この記事を読んでいる人におすすめ