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解説◎新型コロナウイルス感染症治療は新たなステージへ
重症化因子同定が拓くCOVID-19治療の可能性

 国立国際医療研究センターは2020年9月、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化を予測する5つのマーカーを同定した(関連記事)。その意義は大きく、マーカーによりCOVID-19で重症化する患者の早期発見が可能となるばかりか、重症化予備群に対して医療資源を集中的に投入できるようにもなる。さらに、これらのマーカーが重症化に関連する仕組みを解明することで、新たな治療薬の開発も視野に入ってくる。

 同定に成功したのは、国立国際医療研究センター研究所の杉山真也氏らの研究グループだ。2020年1月から3月に同センターに入院したCOVID-19患者を対象に、50余りの検査項目を探索。COVID-19患者の血液を経時的に収集し、病態の経過を追いながら血中の液性因子を網羅的に解析した。

 その結果、COVID-19により重症化する患者では、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した初期の段階から血中のCCL17の値が基準値よりも低いことが分かった(図1)。また、IFN-λ3、IP-10、IL-6、CXCL9の検査値は、重症化する数日前から血液中で急激に高い値を示すことも明らかになった(図2)。

 杉山氏らは、これらのマーカーを組み合わせることで、感染初期にCCL17値で重症・重篤化し得る患者を囲い込み、その後の重症化発症のタイミングをIFN-λ3、CXCL9、IP-10、IL-6で検出することで的確な治療を実施できる、との見解を示している(各マーカーのプロファイルは、文末の表1参照)。

図1  重症度別に見たCCL17の推移 (Mild:肺炎なし[軽症]、Moderate:酸素需要なし、肺炎あり[中等症 I]、Severe:酸素需要ありの肺炎[中等症 II]、Critical:人工呼吸、集中治療管理[重症]。国立国際医療研究センターによる。図2、3も)

図2  重症度別に見たIFN-λ3、IP-10、IL-6、CXCL9の推移

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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