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American Journal of Cardiology誌から
スタチンはCOVID-19治療に役立つか?
4件の研究のメタアナリシスで重症化と死亡のハザード比0.70

 マレーシアInternational Medical UniversityのChia Siang Kow氏らは、スタチンを投与された患者と使用していない患者のCOVID-19臨床アウトカムを比較した研究を抽出してメタアナリシスを行い、スタチン使用者では重症化や死亡率が30%低かったと報告した。結果はAmerican Journal of Cardiology誌電子版に2020年8月12日に掲載された。

 COVID-19の臨床経過にスタチンが及ぼす影響については、明らかにされていなかった。理論的には、炎症反応の進行や肺損傷に対し保護的な役割を果たすという説と、逆に重症化やサイトカインストームに寄与するという説が考えられている。

 例えば、Myeloid differentiation primary response protein 88(MyD88;骨髄分化因子88)の調節異常は、過剰な炎症反応を引き起こすことが知られており、COVID-19患者の転帰不良に関係する可能性があると考えられている。スタチンは、MYD88経路を阻害することが知られており、また、ストレス存在下では、MYD88レベルを安定に維持するためにも役立つ可能性が示唆されている。

 一方で、スタチンが細胞内のコレステロール含量を減らすと、LDL受容体の発現が上昇し、細胞外から細胞膜へのコレステロールの取り込みが促進される。結果として、多数の脂質ラフトの形成が起こると、コロナウイルスの感染が容易になる可能性が指摘されている。

 これまでに報告された論文でも、一貫性のある結果がえられていないため、著者らはメタアナリシスを計画した。対象にしたのは、PubMed、Google Scholar、medRxivに、2020年7月27日までに登録されていた研究のうち、COVID-19確定例を対象とするコホート研究またはケースコントロール研究で、スタチン使用者と非使用者の、COVID-19の重症化のリスクまたは死亡リスクについて検討し、交絡因子候補を補正した結果を報告していた研究を選んだ。

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シリーズ◎新興感染症
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