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Lancet誌から
COVID-19患者のARDSは従来の患者と違うのか?
肺の形態的な変化や呼吸機能への影響は従来のARDSと同様

 イタリアMilan大学のGiacomo Grasselli氏らは、COVID-19による急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者と、COVID-19ではない従来のARDS患者の臨床特性を比較する前向き観察研究を行い、両者の肺機能と形態は多くの点で似ていたと報告した。結果は、Lancet誌電子版に2020年8月27日に掲載された。

 COVID-19で入院した患者の20~67%がARDSを発症したという報告もある。これらの患者がCOVID-19ではない従来のARDS(古典的ARDS)と異なる特徴を持っているならば、より適切な治療の方法が異なる可能性がある。そこで著者らは、COVID-19関連ARDSで侵襲的換気治療を受けている患者の機能と形態的特徴を、古典的ARDS患者と共通しているかどうかを評価することにした。

 前向き観察研究の対象は、2020年3月9日から22日までにイタリアの7病院のICUに入院した連続する成人患者。COVID-19の診断が確定しており、入院から24時間以内に、ARDSのベルリン基準を満たし、侵襲的換気を受けていた場合とした。全員が鎮静下にあり、ICUの標準に設定されている換気装置でボリュームコントロールモードの換気を受けていた。

 ICU入院から24時間以内に、静的肺コンプライアンス(1cm H2Oの圧をかけたとき肺の膨らみ:1回換気量/(プラトー内圧-呼気終末陽圧)で計算)、動脈血酸素分圧(PaO2)/吸入気酸素(FiO2)、死腔率の代替であるventilatory ratio(毎分換気量の測定値×PaCO2の測定値/毎分換気量の予測値xPaCO2の予測値)、Dダイマー値を測定した。臨床的に必要であれば、肺CTスキャンとCT血管造影も行った。

 古典的ARDSのデータセットは、既存のARDSに関する研究が報告していた269人のデータを利用して作製した。

 期間中に条件を満たした患者301人が入院した。年齢の中央値は63歳、四分位範囲55~70歳で、232人(77%)が男性患者だった。入院から挿管までの時間は中央値で2日(四分位範囲0~4日)だった。

 ICU入院から24時間以内のDダイマー値が記録されていたのは261人(87%)だった。胸部CT画像は43人(14%)について利用できた。それらの人々はICU入院から中央値0.5日(四分位範囲0~6日)でCT検査を受けていた。CT画像の定量的な分析は20人(7%)に対して行った。肺CT血管造影は23人(8%)に行われていた。

 ベースラインの患者特性をCOVID-19関連ARDSと古典的ARDSの間で比較したところ、COVID-19関連の方が、男性が多く、BMIが高く、重症ARDS患者の割合が高く、基礎疾患が肺炎だった患者が有意に多かった。

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シリーズ◎新興感染症
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