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NEJM誌から
ニュージーランドのCOVID-19対策が成功した訳
OECD加盟国の中で患者数と死者数が最も少なかった理由を検討

 ニュージーランド(NZ)は、国全体で厳格なロックダウンを実施し、いったんは市中感染者を完全にゼロにすることに成功し、その状態を102日間維持できた。ニュージーランドOtago大学のMichael G. Baker氏らは、NZがどのようにそれを達成したのかをNEJM誌電子版にcorrespondenceとして2020年8月7日に報告した。

 COVID-19のアウトブレイクに関する情報が世界に向けて公表された2020年1月末の時点で、NZ政府はSARS-CoV-2感染者の入国は避けられないと判断した。夏のNZには、海外、特に欧州と中国から多くの観光客や学生がやってくるからだ。著者らが行ったシミュレーションでは、いずれ感染者が国内に広く発生し、医療システムを圧迫し、NZの先住民であるマオリや太平洋諸島民に対する負荷は非常に大きくなると予測された。NZは2月に、パンデミックインフルエンザのために準備されていた、病院の患者受け入れ体制の整備も含む対策を本格的に発動した。並行して、パンデミックの訪れを遅らせるために、入国検疫体制を強化した。

 NZでCOVID-19と診断された最初の患者が現れたのは2月26日だった。同じ週に公開された、COVID-19に関するWHOと中国の共同ミッション報告書は、SARS-CoV-2の挙動は、インフルエンザよりもSARSに似ているとし、封じ込めは可能であることを示唆していた。3月半ばには、NZでも市中感染が発生し、検査の件数も接触者追跡能力も不足していることが明らかになった。

 専門家からの強力な意見を受けて、NZの首脳陣は、感染抑制をめざす戦略を、ウイルスを排除する戦略に切り替えることにした。3月26日には、このウイルスの警戒レベルを最高値となるレベル4に引き上げ、全土で厳格なロックダウンを開始した。

 その後も、各地で感染者が急増し、国民の多くはロックダウンの効果を疑った。しかし、一定期間を経て新規感染者数は急速に減少し、ロックダウン開始から5週間後には、警戒レベルは3に引き下げられた。これをきっかけに、一部に緩やかな制限緩和がおこなわれたものの、その後2週間はほぼロックダウン状態が続いた。国民へのステイホーム指令は、結局7週間にわたった。5月14日に警戒レベルは2となり、行動制限は大きく緩和された。

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