日経メディカルのロゴ画像

Lancet誌から
スペインのSARS-CoV-2抗体保有率は5%程度
ランダムサンプリングに応じてくれた約6万人の住民を抗体検査

 スペインNational Centre for EpidemiologyのMarina Pollan氏らは、地方自治体の名簿からランダムサンプリングで3万5883世帯を選び出してSARS-CoV-2抗体検査への協力を依頼し、6万1075人を検査したところ、住民の血清抗体保有率は5%程度だったと報告した。結果はLancet誌電子版に2020年7月6日に掲載された。

 スペインは欧州でCOVID-19の患者が最も多かった国の1つだ。SARS-CoV-2感染者の一部は無症候であり、感染拡大の初期にPCR検査が十分に利用できなかったことから、流行を分析するツールとして、血清学的調査が重要と考えられている。しかし、報告された研究の多くは、小規模で対象者が限られており、地域や国の指標として使えるものはなかった。また用いられた検査法も検査特性が確認されていなかった。

 そこでスペイン保健省とInstitute of Health Carlos IIIは、同国民を対象とする血清疫学調査ENE-COVIDを計画した。同国内の50の県と2つの自治都市から、人口規模に基づいて層化二段階ランダムサンプリングを行い、3万5883世帯を選び出した。選ばれた家庭の全員を対象にしたため、合計で10万2562人に検査への参加を依頼した。

 協力が得られた家庭の住民には、地元のプライマリーケアセンターに来てもらうか、スタッフが家庭を訪問した。質問表を用いて、COVID-19と矛盾しない症状(発熱、悪寒、疲労感、咽頭痛、咳、息切れ、頭痛、嗅覚消失、味覚消失、悪心、嘔吐、下痢など)を経験したかどうか、および感染の危険因子(COVID-19疑い例または確定例との接触など)を保有するかどうかなどを調べた。

 抗体検査は、2種類用意した。1つは、指先から微量の血液を採取して、10分程度で結果が判定できる、中国Zhejiang Orient Gene Biotech社のポイントオブケア(POC)検査。もう1つは、参加者の承諾が得られた場合に静脈から採血して、遠心分離して冷蔵した標本をNational Centre for Microbiologyに送り、Abbott Laboratories社の免疫分析器でSARS-CoV-2のヌクレオプロテインに対するIgG抗体を検査した。

 POC検査の製造会社によると、この製品はSARS-CoV-2のスパイク蛋白質上にある受容体結合部位を認識するIgG抗体とIgM抗体を検出する検査で、PCR検査をスタンダードとした場合の感度は、IgGが97.2%、IgMは87.9%で、特異度はいずれも100%と発表されている。しかし、National Center for Microbiologyで改めて検証したところ、感度はIgGが82.1%、IgMは69.6%で、特異度はそれぞれ100%と99.0%だった。IgMの結果にはばらつきが見られるため、今回はIgGについて報告することにした。なお、Abbott Laboratories社の検査特性についても、再検証したところ、発症後14日の時点の感度は89.7%で、特異度は100%だった。

この記事を読んでいる人におすすめ