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Lancet Respiratory Medicine誌から
腹臥位での酸素療法がARDSを抑制する可能性
COVID-19関連肺炎患者を腹臥位にするとPaO2/FiO2比が改善

 イタリアSan Gerardo病院のAnna Coppo氏らは、挿管なしに酸素療法を受けているCOVID-19入院患者を対象に、腹臥位にすることで酸素化状態を改善できるかどうかを検討し、背臥位から腹臥位に変更できた患者はPaO2/FiO2比が改善し、約半数の患者では再び背臥位に戻した1時間後もベースラインより酸素化状態が良好だったと報告した。結果はLancet Respiratory Medicine誌電子版に2020年6月19日に掲載された。

 COVID-19患者ではないが、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を起こして気管挿管されている患者を腹臥位で治療すると、酸素化が改善し、死亡リスクが低下することが2013年に報告されていた。これは、腹臥位にすると腹腔や縦隔の重みに圧迫されない肺胞ユニットが増えるため、ガス交換が効率的になり酸素化が改善するためと考えられている。腹臥位はSurviving Sepsis CampaignのCOVID-19ガイドラインでも推奨されている。

 著者らは、自発呼吸があり挿管処置を受けていない軽症肺炎患者でも、腹臥位にすることでARDSへの進行を抑制し、その後の挿管とICU入院のリスクを減らし、限られた医療資源の節約に貢献できるのではないかと考えた。一方、体位変換による嘔吐や血栓塞栓症のリスクが増加する可能性や、挿管のタイミングが遅れるために患者に害をもたらす可能性もゼロではない。そこで著者らは、COVID-19肺炎患者を対象に、酸素化の改善と体位変換による有害事象を検討することにした。

 このフィージビリティースタディーは、San Gerardo病院に入院した患者を組み入れ対象にした。条件は、年齢が18~75歳で、COVID-19関連肺炎の診断が確定しており、CPAPなどの非侵襲的酸素療法を受けていて、本人の同意が得られた人。組み入れ除外条件は、妊婦、同意が得られないまたは精神状態に変容を来した人、NT-ProBNP値が上限の2倍を超えている人、COPDで在宅酸素療法を受けていた人、挿管処置が必要と考えられる人など。あまりに同病院の入院患者が多かったため、条件を満たす連続する患者全員に参加してもらうのは不可能だった。

 ベースラインで、人口統計学的情報や人体計測データ、動脈血ガス、換気パラメータ(呼吸数、FiO2、PEEPなど)などの情報を収集した。その後患者を腹臥位にして約10分後に再び検査を行い、腹臥位を3時間以上維持してもらった。3時間が経過した時点で、腹臥位を続けるか、背臥位に戻すかに関する患者の希望を尋ねた。腹臥位の継続を望んだ患者は最長8時間後までその状態を維持した。背臥位に戻した患者は1時間後に再度検査してデータを収集した。患者は途中で眠ってもよいこととした。

 主要評価項目は、PaO2/FiO2比を指標にした、ベースラインから背臥位に戻した1時間後までの酸素化の状態変化とした。副次評価項目は、腹臥位を3時間継続できた割合、有害事象、PaCO2、呼吸困難、腹臥位でPaO2/FiO2比が改善した患者の割合、気管内挿管の発生率と挿管までの時間、などとした。

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