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COVID-19がもたらした医師の収入減(その4:経営者・フリーランス編)
コロナ罹患で院長入院! 患者が戻らない不安

 経営者でありながら診療に携わる開業医にとって、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行は大きな経営リスクだ。ある地方都市の住宅街で長年、内科・皮膚科診療所を営んでいるF氏はこの4月、自らがCOVID-19による肺炎にかかり、1カ月近く入院を強いられた。この緊急事態にF氏や周囲の人々はどう対応したのか、また経営への影響はいかほどだったのか。F氏の談話を紹介する(本人の特定を避けるため、情報の一部を改変しています)。

 ──うちは内科診療所なので、かぜ症状の患者さんもよく来ますがCOVID-19が市中に流行し始めてからは、発熱患者への対応を見直していました。具体的には、かぜ症状のある人は裏口から診療所に入ってもらい、一般の方とは別の診察室で診療するなど、動線を分けていました。私自身もサージカルマスクとフェイスガードを着用するといった標準予防策に加え、接触・飛沫感染の予防も行いながら診察を行っていました。

 4月のある日です。前日からせきが軽く出ていて、「体調がやや優れないな」とは思っていたのですが、通常通りに診療所を開けました。しかし、やはり調子が悪い。私の異変に敏感に気づいたのは診療所で事務をしている妻です。「あなた、声がガラガラじゃないの」と指摘されました。診療所を開けてすぐでしたので、その時点で受付を済ませた患者さんだけ診て、その日は臨時休診にしました。

 そこから家に帰って休んでいましたが、みるみるうちに体調が悪化し、熱も出てきました。もちろん脳裏にはCOVID-19が浮かびました。妻もまずいと思ったのでしょう。PCR検査をしてもらおうと保健所に電話をかけてくれましたが、当時は保健所に電話が殺到していた時期で電話は一向につながらなかったようです。続けて近隣の病院に肺の検査をしてほしいと電話をかけましたが、そこからも断られました。私といえば、高熱で意識がもうろうとしていたのでしょう。知り合いの先生に代診をお願いする電話をかけていたようです。妻に言わせれば、これから2週間は高熱と肺炎のため、会話の半分近くが意味不明だったそうです。

 家でSpO2を測ってみたら80%台でした。いよいよ危険を感じて、もう一度、妻が病院に電話し、SpO2の測定結果に加えて、私が開業医でCOVID-19にかかるリスクが高いことを説明してくれ、救急受診することができました。聴診と胸部X線写真の所見に加え、CT画像で特有の肺炎像が両側に認められたため入院し、その日にPCR検査も実施し、翌日COVID-19の陽性反応が出ました。

図1 F氏の入院時の胸部CT画像

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