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Lancet誌から
スイスではSARS-CoV-2抗体陽性率は10%程度
ジュネーブ州の地域住民をサンプリングしてIgG抗体保有率を調査

 スイスGeneva大学病院のSilvia Stringhini氏らは、ジュネーブ州の地域住民からランダムサンプリングして、12週間にわたってSARS-CoV-2血清抗体保有率を評価するSEROCoV-POPスタディを実施して、2020年4月6日から5週間の中間結果報告を行い、IgG抗体保有率は高くても10%程度であり、大半の住民は未感染の状態で、今後も感染が再度拡大する可能性が高いと報告した。結果はLancet誌電子版に2020年6月11日に掲載された。

 無症候のSARS-CoV-2感染者にはPCR検査が行われないため、感染者の数を正確に把握することは困難だ。また、世界各国で、PCRの対象者の定義が経時的に変化していることから、既に感染し抗体を保有している住民の割合を知るためには、血清学的調査が必要になる。抗体保有者の割合に関する情報は、住民に課している活動制限を緩和するかどうかの判断に重要だ。

 ジュネーブ州では、2020年2月26日に最初のCOVID9-19確定例が報告された。それ以来5月9日までに5160人(住民1000人当たり10.32人)が確定例となっている。そこで著者らは、12週間にわたってジュネーブ州住民の抗体保有率を調べるSEROCoV-POP研究を計画した。

 同州では1999~2009年に、地域住民の健康状態とライフスタイルなどの関連を調べるBus Sante研究を実施してきた。この研究は、州政府の住民台帳から20~74歳の男女500人ずつを毎年サンプリングして、協力が得られた住民を診察し、質問票に回答してもらうものだ。選ばれた住民から毎年平均で60%の協力が得られている。

 SEROCoV-POP研究でもBus Sante研究と同じ母集団を対象に、毎週約1300人をランダムに選び、同じ世帯に暮らしている家族にも血液検査に協力を求めた。参加者は12週間のうち1回だけ検査を受け、同じ人物が複数回選ばれないようにした。この論文では、4月6日から最初の5週間について、結果をまとめている。

 抗SARS-CoV-2 IgG抗体は、市販されているEuroimmun社の抗SARS-CoV-2抗体検出ELISAキットを用いて検出した。ターゲットにしているのはウイルスのスパイク蛋白S1ドメインだ。検査特性は、PCRにより確定したCOVID-19患者181人から得た血清を使って感度を調べ、COVID-19が流行する前に採取されていた176人の血清を用いて特異度を調べた。このELISA検査の感度は93%で、特異度は100%だった。抗体保有率は、ベイズロジスティック回帰モデルを用いて母集団の年齢と性別を補正して推定した。

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