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NEJM誌から
ヒドロキシクロロキンに予防効果見られず
濃厚接触者を対象にしたCOVID-19発症予防のRCTでプラセボと差がない

 米国Minnesota大学のDavid R. Boulware氏らは、COVID-19の診断が確定した患者と濃厚接触する機会があり、SARS-CoV-2に暴露した可能性が高い人を対象に、ヒドロキシクロロキンがCOVID-19の発症予防に役立つかどうかを調べるランダム化比較試験を行い、発症率はプラセボを使用した対照群と有意差がなかったと報告した。結果は、NEJM誌電子版に2020年6月3日に掲載された。

 クロロキンとその誘導体であるヒドロキシクロロキンは、in vitroでSARS-CoVとSARS-CoV-2に対して抗ウイルス作用を発揮することが報告されている。この作用は、ウイルスがヒトの細胞に侵入する際に結合するACE2受容体の末端の糖鎖形成を阻害するためと考えられている。そこで著者らは、SARS-CoV-2に暴露した人のCOVID-19発症予防にヒドロキシクロロキンが役立つという仮説を検証するためにランダム化比較試験を行うことにした。

 試験の参加対象者は、COVID-19の診断が確定した患者と、家庭内または医療従事者など職業的に接触する機会がある人。2020年3月17日から募集を始め、当初はハイリスクの医療従事者に限定していたが、3月23日からはPCR検査でSARS-CoV-2陽性が確定した患者と濃厚接触する機会があってから4日以内の人に基準を広げた。具体的には同じ世帯または同じ職場で、COVID-19患者と6フィート以内の距離で10分を超えるコンタクトがあった場合とし、マスクもアイシールドも着用していない場合をハイリスク、マスクを着用していた場合を中等度リスクに分類した。18歳未満の若者や入院患者は対象から除外した。参加者は米国とカナダのケベック州、マニトバ州、アルバータ州で募集し、インターネット経由で登録を進めた。

 ランダム割り付けは米国のミネアポリスとカナダのモントリオールで行い、1対1の割合でヒドロキシクロロキン群とプラセボ群に割り付けた。ヒドロキシクロロキン群は初回に800mg(タブレット4錠)、6~8時間後に600mg(3錠)、それ以後は1日に600mgを合計で5日間服用した。初回投与で消化器症状が起こった場合は、1回の用量を減らして複数回に分けて服用しても良いこととした。プラセボ群には、ヒドロキシクロロキンと外見で見分けが付かない葉酸製剤を服用してもらった。

 主要評価項目は、14日以内のCOVID-19発症とした。COVID-19発症の定義は、U.S. Council for State and Territorial Epidemiologists(CSTE)の基準を用いた。この基準では、PCR検査による確定例と可能性の高い例を含む。可能性例は、COVID-19と一致する症状である、咳、息切れまたは呼吸困難に加えて、発熱、悪寒、硬直、筋痛、頭痛、咽頭痛、嗅覚と味覚の異常のうちの2つ以上が認められた場合とし、疑い例は、COVID-19と一致する症状(下痢も含む)が1つ以上見られた場合とした。

 副次評価項目は、COVID-19による入院や死亡、PCR検査による診断確定、何らかの理由による介入の中止、ビジュアル・アナログ・スケールを用いた症状の重症度などとした。

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