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JAMA誌から
重篤なCOVID-19患者に回復期血漿は期待薄?
輸血を追加しても標準治療群と臨床的改善に有意差が付かず

 中国Chinese Academy of Medical SciencesのLing Li氏らは、重症または生命を脅かされているCOVID-19患者を対象に、武漢市でオープンラベルのランダム化比較試験を行い、標準治療のみの群と回復期血漿を追加した群の28日以内の臨床的改善効果を比較したが、回復期血漿群に有意なアウトカムの改善は見られなかったと報告した。結果はJAMA誌電子版に2020年6月3日に掲載された。

 米食品医薬品局(FDA)は先頃、重症のCOVID-19患者に対する回復期血漿の適用について、緊急使用許可(EUA)を与えたが、その利益を示す十分なエビデンスはなかった。そこで著者らは、中国武漢市の7医療機関でランダム化比較試験を行い、COVID-19に対する有効性と有害事象について調べることにした。

 対象はRT-PCR検査で診断された18歳以上のCOVID-19患者で、診断から72時間以内にランダム割り付けに参加可能な入院患者で、重症患者の定義を満たしており、納得した上でインフォームドコンセントの書類にサインした人とした。試験の参加者は7カ所の医療センターで2月14日~4月1日まで募集し、経過の追跡は4月28日まで行った。

 重症度の定義は、呼吸数≧30回/分、安静時の室内気で酸素飽和度≦93%、PaO2/FiO2≦300の呼吸窮迫状態。生命に関わる状態は、機械的換気を要する呼吸不全、ショック、肺以外にも多臓器不全、でICU治療が必要な状態とした。

 組み入れ除外基準は、妊婦や授乳中の女性、免疫グロブリンアレルギー、IgA欠損症、血栓症のリスクが高い併存疾患、DIC(播種性血管内凝固)、重度の敗血症性ショック、PaO2/FiO2<100、重度のうっ血性心不全、他の臨床試験の参加者などとした。

 条件を満たした患者は1対1の割合でランダムに、標準治療+回復期血漿追加群または標準治療単独群に割り付けた。患者の状態が重症か生命危機かで層別化した。

 回復期血漿を提供するドナーの条件は、COVID-19診断確定例で、PCR検査が連続2回陰性となって退院してから2週間以上が経過しており、完全に回復した18~55歳までの人とした。提供された血漿を用いて、SARS-CoV-2スパイク蛋白の受容体結合部位に特異的なIgG抗体価を測定し、少なくとも1:640の力価を備えている回復期血漿を治療に用いることにした。輸血に用いる用量は、患者の体重に応じて4~13mL/kgで調整した。輸血前にクロスマッチ検査を行って適合性を確認した。

 標準治療群には患者の状態に応じて、抗ウイルス薬、抗菌薬、ステロイド、ヒト免疫グロブリン、中医学の薬、その他の治療を行った。

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シリーズ◎新興感染症
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