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Lancet Rheumatology誌から
アナキンラを用いた臨床試験に必要な情報とは
臨床試験に参加する患者の組み入れ基準がバラバラ

 現在、アナキンラをCOVID-19患者に投与する臨床試験が、各国で少なくとも10件進行中だ。英国Manchester大学のAndrew King氏らは、これらの臨床試験の組み入れ基準が必ずしも一致せず、試験によって違いがあることから、アナキンラの良い適応である過剰な炎症反応を起こしている患者の適切な選択の仕方や、臨床試験のアウトカムなどに関する提案を述べている。コメントはLancet Rheumatology誌電子版に2020年5月21日に掲載された。

 COVID-19による死亡は主に、ARDSとサイトカインストーム症候群によって起こると考えられるようになっている。サイトカインストームのような過剰な炎症反応は、多臓器不全を引き起こす。先頃レターとしてLancetに掲載された報告は、過剰な炎症が起きているCOVID-19患者を選んで、免疫抑制薬を投与すると、死亡率が低下する可能性を示した。

 リウマチ性疾患患者に見られるマクロファージ活性化症候群(MAS)は炎症性サイトカインの異常高値を示すが、その状況は、COVID-19患者に認められる過剰な炎症と生化学的に類似している。IL-1αとIL-1βを阻害するアナキンラは、リウマチ性疾患患者に治療適用されており、MASを軽減することが示されている。すでに、COVID-19患者にアナキンラを投与する臨床試験が少なくとも10件進行しており、小規模な試験では、COVID-19患者に対する利益も見られている。

 アナキンラは免疫を抑制するため、使用する患者を適切に選ばないと有害になり得る。過剰な炎症が起きている患者を選んで投与する必要があるが、選抜基準は確立されていない。現在行われている臨床試験で対象とされているのは、以下のような条件を満たすSARS-CoV-2確定例だが、臨床試験によって条件に違いが見られる。

フランスの試験その1
・呼吸器症状があり酸素療法が必要で、CRP>50mg/L

ギリシャの試験その1
・胸部X線画像またはCT画像に下気道感染症が認められ、血漿中の可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化受容体値が6ng/mL以上

イタリアの試験
・呼吸窮迫あり(PaO2/FiO2<300mmHg、または呼吸数≧30回/分、酸素飽和度<93%)、過剰な炎症あり(リンパ球数<1000個/μLで次の3項目のうち2つを満たす場合、フェリチン>500ng/mL、LD(LDH)>300U/L、Dダイマー>1000ng/mL)

ギリシャの試験その2
・SOFAスコアの合計が2以上の臓器機能障害、または下気道感染症あり、MASあり

米国の試験
・フェリチン>700ng/mL;体温>38℃;以下の2つ以上が該当する:D-ダイマー>500ng/mLまたは血小板数<13万個/mm3、白血球数<3500個/mm3またはリンパ球<1000mm3、ASTまたはALTが正常域上限の2倍を超える、LDが正常域上限の2倍を超える

ベルギーの試験
・室内気でのPaO2/FiO2<350mmHg、または酸素療法下で<280mmHg、高流量酸素療法または間欠的強制換気が必要;サイトカイン放出症候群の徴候あり(以下のいずれかに該当、過去24時間にフェリチン>1000μg/Lに上昇した、または高流量酸素療法や間欠的強制換気下でフェリチン>2000μg/L、あるいはリンパ球数<800個/μL)、以下の2つに該当(フェリチン>700μg/L、LD>300 IU/L、Dダイマー>1000ng/mL、CRP>70mg/mL;胸部X線またはCT画像で両側肺に浸潤がある患者

フランスの試験その2
・CORIMUNO-19コホートに参加した患者で、CRP>25mg/L;グループ1は3L/分を超える酸素投与が必要、WHO progression scaleが5、非侵襲的換気または高流量酸素療法は不要な患者。グループ2は呼吸不全で、高流量酸素療法または間欠的強制換気もしくは侵襲的換気が必要、WHO progression scale≧6、蘇生措置を拒否していない患者。

国際試験
・COVID-19疑い例も含む。ICUに入院しており、下気道感染症の症状があり、X線画像は新規発症浸潤影を示す。ICU入院から最長48時間にわたって、非侵襲的または侵襲的換気を受けている、昇圧薬、陽性変力薬のいずれかまたは両方を投与された患者。

フランスの試験その3
・低酸素性肺炎(動脈血の酸素分圧<90mmHg);CRP>150mg/L;ARDS(機械的換気を適用されているPaO2/FiO2<300mmHgの患者)

英国の試験
・COVID-19疑い例も含む。非侵襲的換気、侵襲的換気、昇圧薬、陽性変力薬のいずれか、または複数を組み合わせて適用されている患者

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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