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Ann Intern Med誌から
COVID-19死亡例の肺動脈に血栓が見つかる
オーストリアで予防量の抗凝固薬を使用していた患者11例を解剖

 オーストリアJohannes Kepler大学のSigurd F. Lax氏らは、COVID-19による死亡と関係する各臓器の病理学的変化を明らかにするために、1施設で11例の病理解剖を実施し、びまん性の肺胞障害に加え、予防的な抗凝固療法を受けていた患者であるにもかかわらず、区域や亜区域の肺動脈から血栓が見つかったと報告した。結果はAnn Intern Med誌電子版に2020年5月14日に掲載された。

 解剖の対象は、オーストリアで流行が始まった2020年2月28日から4月14日までに、地域のCOVID-19担当センターに指定されたGraz II病院で治療を受けたが、死亡した48人。このうち10人はランダムに対象に選び、1人はICUで治療に当たった医師から要請されたため、解剖を行った。医学的な場外条件は設けなかった。オーストリアの法律では、公立病院でなくなった患者の死亡原因が不明な場合は、親族からインフォ-ムドコンセントが得られていなくても解剖が義務付けられており、公益に役立つ場合は保健当局や裁判所が解剖を命じることができる。

 全員がCOVID-19の診断基準に該当し、RT-PCR検査で感染を確認している。臨床情報は病院の電子医療記録を照合し、解剖による全身の肉眼的な観察と、顕微鏡的観察結果を調べることとした。組織標本を採取した臓器は、肺、心臓、腎臓、肝臓、膵臓、脾臓、甲状腺、顎下腺、副腎、膀胱、小腸、大腸で、ホルマリン固定した。固定後に肺尖部から基部までの組織を、ヘマトキシリン・エオジン染色や免疫組織染色を用いて病理検査を実施した。

 患者の年齢範囲は66~91歳までで、平均年齢は80.5歳、8人が男性で3人が女性だった。COVID-19発症から死亡までの日数は4~18日で、平均は8.5日だった。併存疾患は、高血圧が9人、2型糖尿病が5人、認知症が4人、脳梗塞の病歴が4人、冠動脈疾患の病歴が3人、悪性腫瘍の病歴が2人、COPDが2人、肺塞栓の経験者が1人いた。

 臨床検査データでは、リンパ球減少;好酸球と単球低値;赤血球数・ヘモグロビン・ヘマトクリット減少;CRP・フェリチン・プロカルシトニン・肝酵素・LD(LDH)の増加;フィブリノーゲンやDダイマーの上昇などが見られた。PT-INRの異常はまれだった。

 9人は胸部X線検査を実施しており、5人は両側に肺炎が、3人は片側に肺炎が見られたが、1人は肺の変化が見られなかった。心エコーでは異常は見られず、心電図では2人に左脚ブロックが見つかったが、心筋虚血を示唆する波形はなかった。生前に静脈血栓塞栓症が疑われていた患者はいなかった。

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