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Lancet誌から
クロロキンはCOVID-19の治療に役立たない?
死亡率の減少は見られず不整脈のリスクは増加

 クロロキンやヒドロキシクロロキンは、時には第2世代のマクロライド系抗菌薬(アジスロマイシンやクラリスロマイシンなど)と併用で、COVID-19患者の治療に用いられている。米国Harvard大学医学部のMandeep R Mehra氏らは、国際的なCOVID-19患者登録のデータを分析し、これらの薬を投与された患者の死亡率減少効果が見られず、心室性不整脈のリスクは有意に増加していたと報告した。結果はLancet誌電子版に2020年5月22日に掲載された。

 クロロキンやヒドロキシクロロキンを、自己免疫疾患やマラリアの治療薬として承認されている。薬理作用から理論的にCOVID-19に対する効果が期待されるものの、有効性と安全性を明らかにしたエビデンスはまだない。そこで著者らは、大規模な国際患者登録データを利用して、COVID-19患者にこれらの薬を投与した場合に院内死亡率減少効果が見られるかどうかと、既知の副作用である心室性不整脈のリスクに及ぶ影響を検討することにした。

 患者登録には6大陸の671病院が参加している。2019年12月20日から2020年4月14日までに参加病院に入院し、PCR検査でCOVID-19の診断が確定しており、生存退院したか院内死亡したかが判明していた患者を対象とすることにした。診断から48時間以内に、クロロキン単剤、クロロキン+マクロライド、ヒドロキシクロロキン単剤、ヒドロキシクロロキン+マクロライドのいずれかの治療を開始された患者と、これらのいずれも適用されなかった対照群の患者を選出した。クロロキン/ヒドロキシクロロキンの投与開始が診断から48時間以上経過していた人、治療開始時点で既に機械的換気を受けていた人、レムデシビルを投与された人は除外した。

 分析に利用した患者データは、年齢、性別、人種、BMI、ICD-10による基礎疾患(冠動脈疾患、うっ血性心不全、不整脈、高血圧、糖尿病、脂質異常症、COPD)、喫煙歴、免疫抑制状態(ステロイド使用、免疫疾患、癌化学療法など)、ベースラインで使用していた薬(ACE阻害薬、ARB、スタチン)、その他の抗ウイルス薬など。重症度の指標には、治療開始時点のqSOFAスコア、室内気での酸素飽和度を用いた。

 主要評価項目は、診断から48時間以内にクロロキンやヒドロキシクロロキンを含むレジメンで治療を開始した患者の院内死亡率とした。副次評価項目は、これらのレジメンで治療を受けた患者が、入院中に新規に発症した心室頻拍または心室細動とした。病状悪化による機械的換気の使用と、ICU滞在期間も評価することにした。

 期間中に671病院に入院した組み入れ条件に該当するCOVID-19患者は9万6032人いた。このうち6万3315人(65.9%)が北米、1万6574人(17.3%)が欧州、7555人(7.9%)がアジア、4402人(4.6%)がアフリカ、3577人(3.7%)が南米、609人(0.6%)がオーストラリアの患者だった。平均年齢は53.8歳、46.3%が女性だった。BMIの平均値は27.6(30以上の肥満者の割合は30.7%)だった。民族は66.9%が白人で、9.4%が黒人、6.2%がヒスパニック、14.1%がアジア系だった。

 基礎疾患は、31.4%に脂質異常症、26.9%が高血圧、13.8%は糖尿病、3.3%がCOPD、3.0%が免疫抑制状態にあった。17.2%は過去の喫煙歴があり、9.9%が現在喫煙者だった。循環器の病歴は、12.6%に冠動脈疾患、2.5%にうっ血性心不全、3.5%に不整脈の既往があった。抗ウイルス薬の使用状況は、ロピナビル/リトナビルが31.6%、リバビリンが20.3%、オセルタミビルが13.1%だった。

 対象者のうち、1万4888人がクロロキンまたはヒドロキシクロロキンの投与を受けていた。内訳は、クロロキン単剤(1日の平均用量は765mg、平均投与日数は6.6日)が1868人、クロロキン+マクロライド(クロロキンの平均用量は790mg、6.8日)が3783人、ヒドロキシクロロキン単剤(ヒドロキシクロロキンの平均用量は596mg、4.2日)が3016人、ヒドロキシクロロキン+マクロライド(クロロキンの平均用量は597mg、4.3日)が6221人だった。これらの薬を使用していなかった8万1144人を対照群とした。

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