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Global Health & Medicine誌から
COVID-19患者への抗凝固療法アルゴリズム
国立国際医療研究センターが日本人患者向けの提案

 COVID-19患者の治療で、凝固亢進状態と抗凝固療法に注目が集まっている。国立国際医療研究センター病院国際感染症センターの佐藤ルブナ氏らは、2020年5月15日に、Global Health & Medicine誌電子版に、日本の中等症から重症のCOVID-19患者に対する未分画ヘパリン(UFH)を用いた抗凝固療法アルゴリズムを提案し、実際にこれに沿った治療を行った1症例について報告している。

 COVID-19で死亡した患者の解剖で肺塞栓が見つかったことが報告されている。449人の重症COVID-19を対象に後ろ向きに分析した中国の研究で、凝固障害があった患者では低分子ヘパリン(LMWH)またはUFHを投与されていた患者は死亡率の減少が見られたという報告があった。既に、世界の複数の医療機関で、COVID-19患者に対する抗凝固療法のアルゴリズムが検討されている。そこで著者らは、日本国内の中等症から重症のCOVID-19患者にUFHを適用するために、以下のようなアルゴリズムを提案した。

 対象は、酸素療法が必要なCOVID-19入院患者で、除外基準は、出血リスクが高い、血小板数が5万個/μL未満、INRが1.5超、最近出血を経験した患者とする。

 患者が中等症(酸素流量は1~4L/分)ならUFHを予防的に投与(全身投与なら200単位/kg/日、皮下注射なら5000単位を1日2回、のいずれかを適用)

 患者が重症(酸素流量は5L/分以上)ならUFHを治療的に投与(1万単位/日を2mL/hで投与開始、1万単位を含む10mLに生理的食塩水38mLを加えて使用する) 

・治療開始前に患者への説明を行い、同意を得ることが必要

治療中は
・初回投与から6時間後に採血し、活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を測定する。その後も1日1回、aPTTと血小板数を測定する。
・予防的投与の場合には、aPTTの倍加を確認する必要はないが、aPPTと血小板数は週に2回以上測定する。
・治療的投与の場合には、投与前に比べaPTTが1.5~2.5倍を目標とする。

UFHの投与期間は
・症状が改善し患者が動けるようになるまで行う。
・UFH後のワルファリン投与は必須ではない。

静脈血栓塞栓症(VTE)のチェック
・Dダイマー陽性ならCTまたは心エコー検査を行う。
・VTEが検出されれば、直接経口抗凝固薬(DOAC)の投与を検討する(ただし日本ではCOVID-19に適応なし)

退院時に
・原則としてDOACは不要
・必要なら心血管系の専門医に紹介する

 なお、入院中は、禁忌ではないすべての患者に弾性ストッキング(重症例にはフットポンプ)の予防的な適用を検討する。

連載の紹介

シリーズ◎新興感染症
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)および新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する話題を中心にお届けしています。

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