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Lancet Rheumatology誌から
ARDSのCOVID-19患者にアナキンラが役立つ
対照群よりも呼吸機能が改善する割合が高い

 ARDSを発症し、全身性の炎症が見られるCOVID-19患者の死亡リスクは高い。イタリアVita-Salute San Raffaele大学のGiulio Cavalli氏らは、そうした患者に組換えIL-1受容体拮抗薬のアナキンラを投与すると、標準治療のみの患者に比べ成績が改善していたと報告した。結果は、Lancet Rheumatology誌電子版に2020年5月7日に掲載された。

 SARS-CoV-2の感染が拡大している地域では、ICUのベッド数を超える重篤患者が発生し、やむをえず一般病棟で非侵襲的換気が受けるような状況になっている。そうした患者のICU入院を回避し、死亡リスクを低減する治療が速やかに必要だ。著者らは、候補の1つとしてアナキンラに注目した。炎症性サイトカインであるIL-1αとIL-1βの活性を阻害するアナキンラは、成人発症スチル病、若年性特発性関節炎、家族性地中海熱などの治療に用いられている。

 COVID-19患者の一部は、サイトカインストームに似た過炎症状態を示す。サイトカインストーム患者には、IL-1、IL-6、IL-18、インターフェロンγの放出が認められ、それらの作用をブロックする薬剤、たとえばアナキンラやトシリズマブなどが治療において有効であることが示されている。抗サイトカイン薬のなかでは、アナキンラの安全性は高く、さらに、半減期が短いために速やかな治療中止が可能だ。また、先頃行われた、敗血症患者を対象とするフェーズ3ランダム化比較試験で、過炎症状態の患者に生存利益をもたらすことが示されている。

 そこで著者らは、ARDSを発症し全身性の炎症が見られるCOVID-19患者で、ICU以外の病棟で非侵襲的換気と標準治療を受けている人に、アナキンラの投与を追加して成績を比較することにした。ミラノの三次医療機関であるSan Raffaele病院で、後ろ向きコホート研究を実施した。

 組み入れ対象は、連続する18歳以上のCOVID-19患者で、中等症から重症のARDSを呈し、過炎症状態の人。COVID-19の診断は、RT-PCR検査と胸部X線または胸部CT検査で確定した。ARDSの判定は、X線やCTで両側の浸潤影を伴う急性発症の呼吸不全があり、PaO2/FiO2比が200mmHg以下の低酸素血症があり、呼気終末陽圧型人工呼吸(PEEP)が少なくとも5cmH2Oあることとした。全身の炎症状態は、血清CRPが100mg/L以上またはフェリチンが900ng/mL以上、もしくはそれら両方を満たす人とした。除外基準は、既にICUに入院して機械的換気治療を受けている患者、細菌感染のエビデンスがある患者、他の抗炎症薬を併用している患者、他の臨床試験に組み入れられた患者など。

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