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NEJM誌から
降圧薬はCOVID-19患者の死亡率を増やさない
ACE阻害薬とスタチンはむしろ死亡率の低下に関連する可能性

 米国Harvard大学医学部のMandeep R. Mehra氏らは、アジアと欧米の11カ国169病院に入院したCOVID-19患者8910人のデータを分析して、心血管疾患の病歴と治療薬の使用が、院内死亡リスクに及ぼす影響を検討したところ、心血管疾患の既往は院内死亡率の増加と関連があったが、治療薬の使用は死亡率増加と関連が見られなかったと報告した。結果はNEJM誌電子版に2020年5月1日に掲載された。

 心血管疾患の患者は、COVID-19を発症すると重症化するリスクが高い可能性が示されている。また、降圧薬のACE阻害薬とARBが、SARS-CoV-2感染リスクを上昇させたり、COVID-19患者のアウトカムに有害な影響を及ぼす可能性が懸念されていた。

 そこで著者らは、心血管疾患の存在と治療薬の使用が、COVID-19患者のアウトカムに及ぼす影響を検討するために、国際的なレジストリであるSurgical Outcomes Collaborative (Surgisphere)registryを利用することにした。対象は、アジア・欧州・北米の11カ国の169病院に、2019年12月20日から2020年3月15日までにCOVID-19で入院し、3月28日までに生存退院または死亡していたSARS-CoV-2感染確定例8910人。入院したまま治療を継続中の患者は除外した。

 個々の患者の、人口統計学的特性、併存疾患の存在、入院時の治療薬(抗血小板薬、インスリンその他の糖尿病治療薬、β遮断薬、スタチン、ACE阻害薬、ARB)の使用に関する情報を抽出した。

 8910人のうち1536人(17.2%)は北米の、5755人(64.6%)は欧州の、1619人(18.2%)はアジアの患者だった。平均年齢は49±16歳で、16.5%が65歳超、40.0%が女性で、63.5%が白人、7.9%が黒人、6.3%がヒスパニック、19.3%がアジア系だった。

 心血管危険因子の保有状況は、脂質異常症が30.5%、高血圧が26.3%、糖尿病が14.3%、過去の喫煙者が16.8%、現在喫煙者が5.5%となっていた。病歴は、冠動脈疾患が11.3%、うっ血性心不全が2.1%、不整脈が3.4%だった。その他の疾患では、COPD患者が2.5%おり、免疫抑制状態にあった患者が2.8%いた。

 ACE阻害薬使用者は全体の8.6%で、ARB使用者は6.2%、スタチン使用者は9.7%、β遮断薬使用者は5.9%、抗血小板薬使用者が3.3%、インスリン使用者は3.4%、その他の糖尿病治療薬使用者が9.6%を占めていた。

 入院期間の平均は10.7±2.7日だった。院内死亡率は5.8%(8910人中515人)だった。入院期間中に一度でもICUに収容された患者は24.7%が死亡していたが、ICUを利用しなかった患者ではその割合は4.0%だった。

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