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Lancet Oncology誌から
武漢市の癌専門医はどんな治療を行ったか?
隔離病棟、コンテナ病院、オンライン診療で癌患者を支える

 中国華中科技大学付属Wuhan Union Hospitalは、2020年初めから、COVID-19患者対応の中心として機能する一方で、癌センターとしての役割も担いつづけた。同大学のHeng Mei氏らは、癌の専門医として、COVID-19流行中に癌患者の感染を回避しながら必要な治療を行うために取った方法や、自宅にいる患者に対する遠隔診療システムを確立することの重要性など、癌治療の経験をLancet Oncology誌2020年5月1日号に報告した。

 Wuhan Union Hospitalは、2020年1月から3月までに5200人を超えるCOVID-19入院患者の治療を行い、2万人を超える発熱患者を外来で診察してきた。さらに、通称コンテナ病院2カ所の運営も行った。こうして同病院は、武漢市で最も多くのCOVID-19患者のケアに当たった病院になった。

 著者らは癌専門医として、癌患者のSARS-CoV-2感染を防ぐことに力を注いだ。1月15日から2月25日までに、1186人の癌患者(うち165人は血液癌の患者)が同病院の癌センターに入院した。癌患者は免疫機能が低下しており、感染リスクが高い。一方で、生命を守るためには治療が必要だ。著者らは、癌に対する通常の治療を継続しながら、患者の感染は回避しなければならないという大問題に直面した。

 中国当局がヒト-ヒト感染を確認したと発表した1月20日以来、癌センターは、患者と医療従事者を対象にSARS-CoV-2の感染を調べるスクリーニングを開始した。PCR検査、抗体検査にCTスキャンを組み合わせて実施したところ、24人の癌患者が陽性(感染率は2%)で、医療従事者は766人中13人(1.7%)が陽性だった。感染率は、武漢市民の平均と比べると、癌患者は5倍、医療従事者は4.3倍だった。

 周囲の患者や医療従事者に感染が広がることを避けるため、癌センター内に隔離エリアを設置した。48時間のうちに850床からなる隔離病棟が準備できた。この病棟では、病院内の他の場所より高いレベルの感染予防策を実施した。

 この時点で既に医療リソースは逼迫していた。個人用防護具のストックは2日分しかなく、医療従事者の感染は増えており、通常の医療の能力は大きく低下していた。そこで、軽症患者と回復期にある癌患者は、可能であれば退院させて遠隔診療により対応することにした。

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