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Lancet誌から
流行の収束には自宅隔離より施設収容が有効
人口400万人の大都市モデルを用いたシミュレーション

 COVID-19に対する有効なワクチンが登場するまでは、身体的距離の拡大、接触者の追跡、感染者の隔離が、SARS-CoV-2感染のコントロール策として最も重要になる。英国London大学熱帯衛生医学大学院のBorame L Dickens氏らは、感染者や軽症者を施設に収容した場合と、自宅隔離を要請した場合の、感染抑制に及ぶ影響をモデルを用いて予測し、施設収容の方が患者数抑制効果が大きいと報告した。結果は、Lancet誌のCorrespondenceに2020年4月29日に掲載された。

 中国武漢市では、COVID-19アウトブレイク期間中に、都市のロックダウンと大規模な検疫、学校閉鎖と共に、身体的距離の拡大、接触者の追跡、感染者の隔離が厳格に実施された。武漢が最終的に封じ込めに成功した理由の1つは、症状の有無を問わずにPCR検査を広く行って感染者を同定し、特設したシェルター施設に速やかに隔離する方針を徹底的に行ったことにある。

 欧米の都市も基本的にこの方針を見習ったが、多くの場合、重症者は入院させて、軽症者は自宅隔離とした点が異なっていた。検査キット不足と、収容施設不足によって、感染が確定されないまま自宅隔離を指示される人も少なくなかった。しかし、自宅隔離の徹底は困難だ。金銭的な補償が無かったため、または厳格な自宅隔離の方法を知らされていなかったために、出歩く人が少なくなかった。

 呼吸器疾患シミュレーションモデルGeoDEMOS-Rを適用し、当初4週間の基本再生産数(R0)は2、それ以降は、身体的距離拡大策によって実効再生産数(Rt)が低下すると予想した。場所は、都市国家シンガポールのような、人口400万人の大都市と仮定した。

 著者らはモデルを構築し、中国が行ったような施設収容と、欧米で行われたような自宅隔離の2通りの隔離方法の有効性を比較することにした。

 感染者を施設に収容すればそれ以降の家庭内感染を阻止できる。中国の場合は、接触者の検疫が法的拘束力を持つため、ひとたび検疫を行えば、家庭内での接触は75%、地域での接触率は90%減らすことができると仮定した。欧米型の、無症状や軽症例に自宅隔離を指示する方法は、家庭内での接触を50%、地域での接触は75%減らすと想定した。

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